わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

感想・評論

アメリカを支えた「SFX」

スティーブン・スピルバーグと、リチャード・ドナーと、リドリー・スコット。アメリカ映画、、、というか、アメリカそのものを救ったのは、彼らなんじゃないか?とボーッと考えることがあります。未知との遭遇(77)スーパーマン(78)エイリアン (79…

カサヴェテスというJAZZ

カサヴェテス作品の引力にまた、包まれた。 ベン・キャザラ演じる、コズモ支配人 チャイニーズブッキーを殺した男(1976) カザヴェテスの愛妻ジーナ・ローランズへのラブレター(=映画)は何通か観ていた。が、このベン・ギャザラへの贈り物は初めてだった…

史上最強の哲学入門

クソ、がつくほど面白いです。飲茶著「史上最強の哲学入門」。 右が第一弾で西洋哲学、左がつづく「東洋の哲人たち」。 近年まれにみる、読書体験でした。(おっと。これも「同化」ですね) とくに「東洋」篇の出来たるや、すさまじく感動!耳、赤、たとえに…

戦争を知る傑作、二冊

今年の終戦記念日に、思うことがあり、本棚から読んでなかった文庫(置き本)を取り出しました。 伊藤桂一 「兵隊たちの陸軍史」 堀栄三 「大本営参謀の情報戦記」 2冊とも、当時軍部に所属し、戦争を生き抜いた作家によるノンフィクション。伊藤氏は陸軍の…

劇論 ドラえもんの深層

ドラえもんがついに米国進出する、ということで話題になっている。ディズニーが米国版「DORAEMON」を今夏から、放送するそうだ。ドラえもん人気はスペインなどの例外はあるが、主に東南アジアで大人気とのこと。アメリカ進出と言うが、リバタリアンな米国人…

資本主義以後の世界を読んで

中谷巌著「資本主義以後の世界」(2012/徳間書店) ブックオフで購入。拝読。 これは、とてもいい本だ。 資本主義の成り立ちを1492年コロンブスによるアメリカ大陸発見から俯瞰してみせる。 時の覇者スペイン・ポルトガルには「何が足りなくて」オランダでは…

アクト・オブ・キリング 奇跡の映画

「ソンナノ ヒジョーシキダヨォ! ユルセナイヨォ!」 By日本の常識 世界の非常識 5月1日映画の日。 「アクト・オブ・キリング」を観た。 HP 先に結論を言うと、映画史にのこる傑作です。 だから映画館で観て欲しい作品です。 多くの人が衝撃と絶賛を表明し…

エトロフ遙かなり、1993年

1993年はTVドラマ史的に超重要な年だと思っている。 その年の11月、4週にわたりNHKで「エトロフ遙かなり」が放送されたのだった。 高校3年のボクはそれを目撃してしまい、脳天が痺れ、そのドラマに夢中になった。 エトロフ遙かなり。ボクが知ってい…

二人と三人のちがい

Two heads are better than one. 日本の諺では「三人寄れば文殊の知恵」が同義とされている。しかし、この二人と三人のちがい。 仕事上ここを調べていて、非常に興味深かった。その時ボクと制作さんは、イノベーターとして成功したコンビやトリオを探してい…

エリック・ストルツ「インサイド」

南アのアパルトヘイト映画での傑作が「インサイド」だ。 アーサー・ペン監督 エリック・シュトルツ主演、1996年のテレビムービー。 なんと、劇場未公開作品である。なにかのきっかけで観て、途轍もなくヤバかったのを憶えている。 先日ネルソン・マンデラ…

嫉妬する女性映画たち

アメリカの女性映画。 それも南部や中部といった、極力田舎で小さな町。それもキリスト教の色濃い、静かな映画。うまく言えないがこのライン、実は大好きなのだ。そしてこういう映画にこそ嫉妬してしまう。 自分にたりない眼差しの豊かさを感じ、「ああ、こ…

ピラミッド 5000年の嘘

このドキュメンタリーは必見です。 とにかく必見です。 レンタル屋さんにひっそり置かれてます。 日本版HPに荒俣宏さんが「生きててよかった!」と寄稿していますが、そう思って不思議はありません。このパラダイムシフトは21世紀という時代にまさにふさわ…

ホーリーモーターズ鑑賞

「ミニシアター」はとても久しぶりだった。新宿シネマカリテ。去年12月に出来た新しい映画館。トイレがウォシュレット。なにより、なつかしい人々と一緒に映画を観た。あー、そうなんだよ、このかんじこの感じ! その印象が一番かもしれない。 レオス・カラ…

「ザ・マスター」はイイ映画

ポール・トーマス・アンダーソンの「ザ・マスター」を金曜日に観た。封切り日に映画を観たのはとても久しぶりのことだった。観た映画すべての感想をこのブログに乗せているわけでもないけど、この「ザ・マスター」も悩ましい。この映画の感想をのべて一体ど…

エル・グレコ展

木曜日、上野の東京都美術館へ行ってきました。「エル・グレコ」展 さっそく個展外の作品だが(笑)。このデカダンな雰囲気。10代当時この絵を見てファンになる。ボクはエル・グレコが大好きだ。もー好き。いつだったか十代のころ、上の肖像画を見てファンに…

意識の壁

ヒトの致死率は100%です。SARSやガンの比ではないのです by死の壁養老孟司さんの「死の壁」(2004)を読みました。マイ・ブックオフ105円の殿堂、決定書籍です。 もう、ベストセラー「バカの壁」も再読してみよう。105円で買い戻せるのですから。でも「…

大島渚の闘い!

BS朝日で日曜日の夜、「大島渚の闘い!」という番組をみた。2000年に制作された番組。 今回の追悼特別番組ということで特別枠での再放送だったろう。この番組を見た人はどれくらいの人数いるんだろうか。誰か、いますか? 見た人。見た人に告げます。 強烈で…

絵画を掘ろう!

前回、前々回と音楽のメタファーについてつっつきました。 これが意外とプライベートな反応が好評で(笑)、今日は絵画におけるひとつの見方を書きます。 もちろんこれは愛好家や専門家には常識でしょうが、意外と浸透していないように思うので。 それに欧米…

寝りゃなおる by 権藤医師

FBで友人がリンクしていて思わずボクもシェアしました。 大滝秀治さんの言葉。とてもいい言葉ですよね。 しかしこの言葉は同時に、大滝さん自身の俳優術も表していると思うのです。大滝氏は「自信」と「謙遜」をキャラクタに吹き込んでいたと思う。その配合…

日本辺境論を読む

自分が演出・撮影・編集した映画で「Going For Sunday」(2004)という作品があります。この作品はロンドンの映画祭「Japanese filmseason in London」(04)に選ばれて、ボクも駆けつけ会場でスピーチしました。そのときの、友人ヨッチが翻訳してくれた貴重…

スパマロットを観劇

【追記】2021年1月。再演に際しブログ庫から蔵出ししました。12年だから9年ぶりなんだな・・。今読み返すと辛辣だが、心から書いてますよ。悪しからずや! 今回が素敵な公演であることを願ってます。でも高え! 高すぎる。とても手が出んよ、チケット代!と…

邦画を彩った女優たち

NHK-BS「邦画を彩った女優たち 大原麗子」が今日、12時から再放送していた。30分前に知り、あわてて録画&鑑賞した。 このシリーズは先月、第2シーズンとして4人の女優をピックアップして放映していた。 大原麗子・若尾文子・太地喜和子・倍賞千恵子(…

照樹務の思い出

先日、AMAZONから取り寄せたもの。「STUDIO GHIBLI 絵コンテ全集第Ⅱ期/死の翼アルバトロス・さらば愛しきルパンよ」 照樹務(てるきつとむ)。この響きを聞いただけで心躍る人にこれを書こうと思う。ボクも、この、宮崎駿のニックネームに影響をうけた一人…

市川崑 「幸福」の幸福感

たとえばフランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生」のように。あーだこうだ批評することなどどうでもよくなり、むしろそんな行為が小さく感じ、吹っ飛んで幸福感に包まれる映画。 そんな貴重な映画が、数少ないけどこの世には存在する。市川崑監督作品「幸…

NHK広島ドラマ 「火の魚」

9月20日午後10時より、NHK総合でひっそりと放映された「火の魚」。僕は放送10分ほど前にその存在を知り、なんとなく傑作の匂いがした、鑑賞した。そしてそれはとても重力のある、傑作だった。 「なんとなく傑作の匂いがした」のはクレジットに「脚本渡…