わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

日本代表を考える 2022



喧騒とカオスのワールドカップで死し、もう二度と戻らないチームに「日本」の名も刻まれた。
ベスト8が決まり、24の国が大会を旅立った。
どんなにイイチームも、どんなに良くないチームも祭がおわれば解散する。「惜しかった」「もう少しできた」そのような想念をいつだって(世界中の国々が)抱えながら、解散する運命にある。


だから一般的にはさくっと忘れる


これは祭だ。2,3日すればすっと忘れいつもの生活に戻ってゆく。むろんわるいことじゃない。
課題や提言などはトゥーマッチであり、わかりいいことと美しい想い出だけで充分。辛気くさいのはやめようや、と。——毎大会で言っているが


「だからこそ判例として積み上げようぜー」
「今よりよりよくしてこうぜー」


という視点で毎大会見届けるのが私の態度だ。
なぜなら人は、歴史は、くり返すから。で、人も私もよく忘れるからだ。

ではナニを忘れるのか?
——といえば、それは失敗にまつわることだろう。成功というものは「成功体験」というくらいで、自信にもつながりよくよく刻まれるもの。だからある程度ほっといてもよく(?)今回

なにが、どんなことが
足りないことだったろう?


4年後はまた全く新たなチームが現れる。が、だからこそくり返す可能性が高い失敗を「つぶす」という行為がいつだって肝要だ、と考える。

もっとも私はJFAの人間ではないし「検証」こそが彼らの仕事だと想うが、これらの振り返りはあとあと個人的に「右往左往せず観戦する」ことにずいぶんと役立っている。
前置きは長くなったが今大会の「日本代表を考える2022」を始めます。



◉といいつつ成功を考える

そうは言っても誰もが「ほめられ好き」なわけで(私もね)、塩ではなく砂糖が欲しいときも多い。
いや、クレープもホットケーキもなんでも欲しい!おいらは甘いエネルギーしかほしくなんかない!
と。・・でもこれらはもう皆さんの中にある。



歴代最強の功績と美談



に今回充ちている。今までドイツに勝ったことはあるだろうか? スペインに勝ったことは?
というか、ヨーロッパにどれだけ勝ったことが?
それも1点先取され逆転した過去を知らない。


クロアチア 1−0 日本 (1998)
ベルギー  2−2 日本 (2002)
ロシア   0−1 日本 (2002)
クロアチア 0−0 日本 (2006)
オランダ  1−0 日本 (2010)
デンマーク 1−3 日本 (2010)
ギリシャ  0−0 日本 (2014)
ポーランド 1−0 日本 (2018)
ベルギー  3−2 日本 (2018)



これが前回大会までの欧州との対戦の歴史だ。
二十年でわずか2勝だ。それもロシア当時のデンマークという中堅国からの勝利だけだったのだ。

ドイツに勝った夜。
日本代表がそのまま2戦残して成田空港に帰ってきたとしても誰も文句を言わなかっただろう
それだけでなくスペインにも勝ったんだから。


ベスト16でも前回ロシア大会準優勝国クロアチアを相手に互角の試合をした。
それも1点先取した、という事実。
悲願のベスト8まであと一歩のところまでいった実績もなにもかも、完全なる堂々とした功績だ。

祭としても、私事としても大いに湧き楽しんだ。



◉が、失敗をみていこうよ

しかしコスタリカ戦もそうだが、


「負けにこそ未来への種がある」


と考える。
プロ野球の名将、故野村監督も言っている

勝ちにふしぎの勝ちあり。
負けにふしぎの負けなし。



クロアチア戦は未来へのベンチマークに充ちている。
私はそう考える。クロアチア戦を俯瞰してみよう。



パルプンテなきクロアチア

まず想念で言えばひとこと


総力不足


だった。これはもう皆さんもそう考えるはずだ。
コスタリカ戦のような「消化不良」ではなく、総力で負けた。総力負けだから世論もずいぶん大人しく戦後清々しい、とも言えるはず。(強いて言えばPKだがこれはのちに触れます。)
細部として足りなかったのは「」。要するにクロアチア戦は総力戦における駒不足に陥った。

もちろん選手層で言えば過去イチだった。

しかし残酷にもその上で、GLからかぞえ4試合目ではジリジリと駒不足は進行していた
とくにサイドバックの不足はラストまで響いた。
三苫のことではなく、専属専門職としてのサイドバックの話ね。中山は本当に欲しかった・・)

三苫に至っても「彼がジョーカー」であることはGL3試合で研究されクロアチアの監督ダリッチは三苫の登場にすぐにバシャリッチ選手というパッチを当てた。駒不足は堂安がスタメンということにも現れている。つまり、



奇襲の効かないジャパン



になっていた。図らずも堂安先発のコスタリカ戦・クロアチア戦ともに敗れたが、戦力の2段ロケットという面で言えば妥当で、総じて「駒不足」に陥ったと言えるだろう。

イフもしもはいくらでもある。
生産性のない結果論だが一つだけしたい。

この試合調子の良い鎌田を下げたのは謎だった。
彼はEL(ヨーロッパリーグ決勝で120分戦える体力と気力もありPK戦も蹴り優勝した過去を持つ。ゲーム上効いていたが謎の交代。もっともクロアチアの中盤は4−3−3のお手本のように固く、サイドから展開したいのはわかる。が、


後半30分/中盤は《遠藤と守田》のみ


という時間が10分ほど続く。
鎌田にかえて右の酒井に代えたからだが、奇襲にでるなら(ものすごく良かったが)谷口にかえて「攻撃陣」という流れの終盤もあったはずだ。

4バックで撃って出ることは考えなかったのか?

もう中盤に厚みをもたらす鎌田は居ず、延長時の守田ー田中の交代もポジションのローテで終わった。
最後のさいごで保守に走った森保ジャパン。もっとも120分の対決を見越してもいたろう。だが、


ベスト16
クロアチア 1—1 デンマーク 120分
    (PK3−2)
準々決勝
クロアチア 2−2 ロシア   120分
    (PK4−3)
準決勝
クロアチア 2ー1 イングランド 120分



上記は前回ロシア大会のクロアチアの成績だ。
が、120分x3連戦という死闘の連続で決勝まで上がっていった、その経験と鉄の意志ある彼らに


余裕で分があった


としか言えない。
前大会の絶対的な経験値のあるなか、なんら危なげなくPK戦をクロアチアは制した。




クロアチアに見習う点が多い

自分が東欧好きというのもあるが、クロアチア心の師匠として精進して欲しいと日本代表に想う。
なぜなら、


魂・スピリット = 前回大会で証明済
システム = お手本のような4−3−3



だからだ。
こういうチームこそロールプレイモデルじゃあないのかい?と想う。「日本のスピリットはすごい、よくやった」と毎回言われることだが、そんな精神面でも上には上がいる、ということ。
120分x3連戦の国である。根性好きのお国柄の日本には格好の師匠ではないか。

おまけに4−3−3の磨き上げが美しい。

モドリッチ・コヴァチッチ・ブロゾビッチという3選手からなる中盤は途中反転し役目をかえ、ビルドアップからフィニッシュまで顔をだす——まさに日本が望むものではないのかい?ということ。

次のブラジル戦にクロアチアも果てるかもしれない。が、そんなことはどうでもよろしい。
彼らに見習うべき点は多いと考える。




◉日本代表のパイを考える

過去イチの戦力をもってしても、4試合に渡ると「誰が使えて誰が出せないか」がわかってくる。
これが重要な未来へのヒントだと感じる。

結局信頼の置ける人材しか出せなくなってゆく、という短期決戦の総力のパイ。そのパイの大きさをこれからも上げてゆくことしかないし、面白いのは


その者のメンタルがどうか
大会仕様のメンタルか


に集約されそうだ、ということ。そして



それは大会で当てて
みないとわからない




という点。ここに強く深い要点があると考える。
「海外チームで活躍している」は経験と実績としてもはや特別ではなく、世界戦に「慣れている」ことも極めて大事だが、


大会仕様のメンタル、は別モノ


ということだと考える。
ここにメンタルの担保される「前例主義」がでてくるが、前例主義を推したいわけでは決してない
前例主義に頼ることはその選手が4年分老いることも担保に入れなくてはならないからであり、ベテランになればなるほどそのプライドも厄介なノイズとなりえるからだ(選手の気質と性格によるが)。

そうではなくここで伝えたいのは、むしろ若手で「今回初めて」を使うことの良さだ。それは「理想でロマン」であることも認めるが、本当に



当ててみないとわからん



という点。今回も「初めてでブレイク」もあれば「初めてでうまくいかない」選手もいた。
で、それでいい、と考える。
わからん賭けをし続けるほかない、と私は考える。

もしかしたら堂安三苫が前者で、上田やDF伊藤は後者だったかもしれない。谷口がステキな活躍を見せたことも嬉しい。久保は、と言うと肝心な所で(おそらくプレッシャーで)熱をだしたが、


それもまたしかたなし。
正負両極を担保し続けるべし
「化ける」かどうかは
当ててみないと
わからない。



ということ。
それくらいW杯は特殊でありスリリングなのだ。

久保も凹まなくてイイ。
98年にブラジルのロナウドも、2018年にはコロンビアのハメスもノイローゼでダウンしている。

世界的プレイヤー
でさえプレッシャーに押しつぶされるのがワールドカップ。「そんなもんだ」から久保選手も所属チームで励みばいいだけだ。
大切なことはW杯は「イチにハートに2にハート。その次にサッカー」という教訓で充分だろう。

で、そのハート面とサッカー面というふたつのサークルを大きく大きくしていくだけではないか。
怖さもある中、試すこと。信用すること。
はじめて」「若手」を起用し続けることが総合的なパイの大きさにつながると私は考える。
それに今回、全選手が感じたはずだ。


足らない、ベスト8は近くて遠い、と。


悔しさは所属チームに持ち帰って精進するだけであり、その歴史が「今の選手が常に最強」となる。
4年後の日本代表は今年よりも、きっと強い。




◉Jリーグ、1年だけPK導入を

クロアチアとはPK戦だった。
これは2010年と同じでトーナメントには確実にあるものだ。イタリアのロベルトバッジオ


PKを外すことができるのは
蹴る勇気のある者だけだ



という美しい名言を残しています。
この言葉を、今回蹴った選手達に私は贈りたい。


・・がその「美しさ」とともに、やはり2010年と二回目なのでなんとか施策があっていいとも考える。
そこで!

Jリーグ、
1年だけ勝ち負けのみ。
PK戦、導入しませんか?



という荒療治を考える。Jリーグで90分後、引き分けならPK戦やりましょう!という提案。

PK耐性をつける
目的だ。

PK職人はチームに一人はいるものだが、PK戦は5人要るわけだから、日本選手全体のPK技術・意識の向上と同時に、GK技術の向上を図れるもの。どうだろう?

もっとも、Jリーグは修羅のリーグなので「引き分けナシ・90分後PK戦あり」を導入すると、そのルールを「ハック」してそれ目的のチームも出てくるだろう。確実にリーグは混乱する(笑)が、



手をこまねくより
やったほうがよくない?
1年。1年だけ試して!



なんて想うよ。
悪くないアイデアだと想うし、こんな「フレキシブル・柔軟さ」をJリーグには求めたいね。
アジアカップなど、PK戦が怖くなくなるぞ?



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ベスト8には届かなかった。
清々しく散った今回の日本代表。
それは11月23日のドイツ戦から



2週間も経たない



行脚だった。が、なんと濃い時間だったろう
本当に選手も皆さんもおつかれさまでした。

W杯はようやく「中入り」の休息日になり、私もホッとしている。面白くてカラダがもたない。


最後に。
森保氏の「続投」議論が高まる中、自身の感慨レターを書いて今回は終えようと想う。
それはまた追々アップします。では!