わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

じっと、幸あれマンシップ

徒然日記。


◉卒業シーズン
うららかな天気のこの時期(って春の長雨もあるが)は本当にムーディーで好きだ。
少し前お隣の娘さんに久しぶりにばったりと会い、いわゆる近所のおっさんモードになったわけだが、


オレ「少し見ない間にオトナっぽくなったねー」
お隣ちゃん「もう大学4年ですよ」
オレ「・・・ああ・・そりゃ完全にオトナか」


オトナっぽくを通り越し完全にオトナだったことにひどく狼狽える、おっさんそのものと化した。
それは夏前であったが一つ「しまった」と思ったのは「就職先はきまった?」とこれまたおっさん化したおっさんフレーズを吐いてしまったことだ。


「まだです・・」


ああ、しまった!オレのバカ!だ。
就職活動中の人がもっとも嫌がる質問だからだ。それに!たとえ決まっていたとしてそれが第一希望、ドンズバな就職先とは限らないではないか。むしろそんな輩は一握りの幸運な人間であり、そもそもそんなステータスをその人自身が共有したかったかどうか。それもオレと? 答えはNOだばかやろう。いや!慎ましくも何か親交を温めたかったのだこのバカは。しかし相手にとって必要のないやりとりだ!


オレ「・・・大学では何を勉強したの」
お隣ちゃん「・・心理学です」
オレ「ああ、それは面白そうだね」
お隣ちゃん「はい」


いい情報だった。おまけに好きな部類だ。
さすがお隣ちゃんだぞ! だがフロイトがどうの、臨床と理論がどうの、と浅い知識をひけらかすうんこ野郎になりそうな処をオレはグッとこらえた。


オレ「学んだ事、活かせる先がみつかるといいね」
お隣ちゃん「はい」


時間切れだった。こうしてオレは通りを歩き出さざるを得なかったが、これでいい、と思った。
お隣ちゃんも卒業である。どこで何をしててもいいのだ。おっさんだろうがこう願う、彼女に幸あれ


◉マンシップが好き
ヒト月くらい前、JRに乗っていた。
とある駅の搭乗時間。近く昇降口で駅員の声がする。


駅員「車椅子のお客様ご乗車します」


その後すみやかにスロープを敷く駅員。
ハンドルに手を添え、車椅子のお客さんが乗車すると


駅員「お気をつけて。いってらっしゃい」


と言ってスロープを外した。
駅員はプラットフォームに戻り「26番対応完了」と業務連絡。その後警笛をピィーと鳴らした。
そうして程なく電車は線路を滑り出したわけだが、



凜々しい光景だ。



たまに見かけるこの光景が私は好きだ。
この先この車椅子のお客さんの降車駅、同じ車両の同じ扉口番号でスロープを持った駅員がその人を待ち構えているだろう。これは素晴らしい仕組みであり、鉄道マンシップを本当に感じる。

またこの「お気をつけて。いってらっしゃい」がねぇ、よかったわけよ。凜々しいぞお前このやろう!とオレは心で拍手した。たとえば子供が鉄橋かなんかで電車を待ってる光景。車掌がそれに気付き「汽笛を鳴らす」とか「子供に敬礼する」など鉄道マンの凜々しさには痺れるものがある。

こういう職業マンシップはたまらんね。
とくに子供が憧れる職業、CAさんとか大型船の船員などは染みついたものがあると思う。むろんホテルマンなども同様だろう。「——・マンシップ」は素敵な振る舞いに現れるその者の矜恃である。もちろん「モノ」自体に裏打ちされたセンスを感じる「クラフトマンシップ」も大好きである。


◉じっと庭を見る
自分のアクションも記しておくと、


じっと庭をみてる。


嗚呼この時期を越えると雑草がすごいだろう、と。
春となり緑づく庭をじっと見るのだ。ここでポイントは、黙し、決して行動にうつさない事にある。笑



ただじっと庭をみ、
そして来たるべき雑草シーズンに、おののく。



ああいやだ、いやなのだ・・とひたすらおののき、オレがオレに呟くのである。いやだ、と。
そうして庭を眺め続けること幾歳月、佐川急便からブツが届く。120ポッドの、大量の下草である。


「ブツが届くと動かざるを得ないだろ」


そんな数日前の自分が発注したモノだ。
植物だから台無しにはできない。そうして春の通り雨を恐れながら、オレは庭へ向かうのだ。
重い、重い腰をあげる瞬間である。


しかし「大量の下草」は届くが秒でなくなる


クワとショベルを持ち出し、マイ一輪車も駆使す。
やれば、ものの1日、である。
いや、ものの4時間だ。ただし集中+腰の壊れる4時間だが。耕し整地し植えれば、秒でなくなる


すると「これっぽっち?」という面積で終了だ。


庭というのは思ったより広いものである。また「これっぽっち」を耕すだけで体力も同時に終わる。
むろん判ってる事とは言え、覆える面積の少なさは本当に切ないものだ。まだまだ全然足らぬ。
・・と、ぶっこわれた腰とともにこれを記す。