わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

W杯おわる 2022 Pt.1



ワールドカップはアルゼンチンに渡った。

毎大会のことながらW杯が終わる頃にはサッカーファンは「ぐったり」。それも今回は年末で「ああそうか掃除しないと」となる。外も寒くああ年末。

今回はその決勝をふりかえります。



◉結果と行程のちがい

勝戦のカードは「フランスvアルゼンチン」。
この並び自体に特段驚きはない。しかしつぶさに視ていたヒトはご存じの通りこの大会は


極めて風変わりな大会


だった。そう想わないのはこの「順当っぽい」決勝カードになった結果だけを喜ぶTOTOクジ界隈のヒトだけだろう。しかしそのTOTO人たちでさえ、今回の乱高下を無視して結果だけ語る輩が今回居そうにないし(居たらただのワック)、予想してたよ、知ってたよ、なんてドヤる奴はとても友達にはなれん。そんな大会で、とにかく変動した、極めて風変わりな大会に映った。

最新の大会を「もっとも〇〇な大会」と類型化するのはなんだか特別視した驕りで都合の良い言い回しでもあるが、控えめに言っても「風変わり」であり、もっと言えば実力の拮抗した、それでいて世界多種多様な、まさにダイバシティなカオスがサッカー面で爆発した大会だった。

W杯は国のショーケース

それら磨かれた矛と盾がぶつかり合う。この決勝カードに至るまで、わんさかとあった国同士のストーリーを我々はヒト月の間体感した。



◉決勝の戦いを紐解く

折角なのでこの決勝戦をオレなりに解説したい。


ここで書いたとおり、今回のアルゼンチンは中世超封建サッカー。いや、ネオ封建サッカーと呼ぶべきモノで「いかにメッシという才能を落とし込むか」が設計され、そして大会の中で成長したチームだった。とくにオーストラリア、オランダ戦と勝ち上がる中大きく膨らんでいき、クロアチアとの準決勝でその最適化の「完成形」を示したチームだった。

フランスも「エムバペ」を擁する古風で「個」の強すぎるサッカーを展開するチームだったことが面白く、その差分で視ていくとわかりやすい。

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フランスは決勝戦でなんとなく試合に入った。
エムバペ・デンベレ・ジルーでいけるっしょ、と。

実際彼らはその方程式で勝っており、アルゼンチンのように徹底した「タレントケアー」シフトを用意していない。つまり「拭うのも程度がある」と、エムバペの守備の穴をエルナンデスはそこまで拭わないし、デンベレの穴も同様にクンデは徹底するほどケアしない。そんなチームバランスだ。


この差が見事に、前半のフランスを無力化した。


迷いなき完全無欠なアルゼンチンはその穴をつく。
過去イチのパフォーマンスを示すことになるディ・マリアを左に使い、メッシとの両翼。エルナンデスとクンデは守備に追われ、結果デンベレがディマリアの足を引っ掛けPK献上。作戦通りだったろう。
前半で2−0。フランスは「なんとなく」では通じないと前半で悟ることとなったのだ。
(しかし今まででは信じられないような、強すぎるフランスの無力化は世界をまず驚かせたよね。)

たまらずデシャンはジルーとデンベレを前半で下げ「守備にも汗かける」布陣にする。個人的にはジルーは割を食った可哀想な交代に想うが、デシャンのこの「エムバペのみを残す」という、それも早い手術は賢いと言わざるを得ない。


後半、今度はアルゼンチンが油断する
勝てると。優勝できる、と最後の最後気が緩んだ。


しかし日本人なら誰が責められようか?(笑)
オレラはなんどもこの「おごり」「油断」にやられている。コスタリカ戦? 加えて前回ベルギー戦なんて15分で3点取られたチームでありこの「油断」は全世界共通なのだから仕方ないっちゃ、ない。


「あと10分という、3分で2得点。」


しかしここにも油断以外の理由がある。
コマンとカマヴィンガを入れ、後半4−4−2ワイドのミラーゲームデシャンは持ち込んでいた。
(それも真っ黒な布陣よ。フランスのゴリ押しだ)

デシャンは正直余り好きな監督ではないが(笑)、はっきりとこの采配は慧眼だった。ジリジリ押し込んだ末の2得点であり、それも80分間死んだと想われていたエムバペが「4年に一度」のゴラッソ。


「これぞワールドカップという展開やねー」


延長戦。真っ黒なフランスが完全優勢の中、アルゼンチンの絶望を救ったのもシステム変更だった。
4−4−2の2トップには3バックが本当に鉄則なのだが、ようやくそれに気づいたわけだ。伝統的に3バックもオプション化しているアルゼンチンは恐慌が収まり、押し返しメッシが決める!


「試合はこれで幕か!」


とは行かず、フランスももぎ取ったPKを、エムバペがぶん殴り延長は幕を下ろす。同点のPK、と。


メッシとエムバペという才能同士の象徴の影にこれだけの現代的なベンチワークが展開された。
これだけでも今大会のカオス・知性・想いの詰まった劇的な試合。この大会に相応しいラストだった。

最後のPK戦——。
最後のキッカー、ゴンサロ・モンティエルは決めた瞬間、走りながらユニホームで顔を包んだ。



◉Pt.2に続く

大会総評としてまだまだ書きたいなぁと思うので、日を改めてふりかえります。
なので今日は決勝戦の感想まで。

貴方にはどんな大会でしたか? では!





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Pt2書きました。どうぞ。