わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

ダブルバインド、日本

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I

「いつからこんな情けない国になったのだろう」



と、この一年は行政の「実行力の欠如」にがっかりした人は多いのではないだろうか。
去年の暮れには「ワクチン接種」という来たるべき「プロジェクト」は明らかだったはずなのに、いざその「時」が来て(それが今年の2月位)さらに数ヶ月がいたずらに過ぎ、このほどやっと各行政がのっそり動き出した。それも電話予約がどうの、など、動きの眠たさこの上ない。

一方、米国などは「OK、集中してやりましょう」と人海戦術。それもドラッグストア、デパート、駐車場の一角など企業の敷地を活用し、大量の医療ボランティアが挙手し、一気に行った。


正直、米国の底力を視るようだった。


今ではマスクを取ってOKな州も多い。
英国しかり、スペインしかり。このコロナという事件は本当に世界規模だが、それ故、



その「お国が知れる



残酷な額縁(フレーム)となった。
世界的前例などないからだ。前例のないとき、国はどうするのか。そういう各国単位の

ヂ頭」「実行力」「リーダーシップ

これが、偏差値・通信簿のように明らかになった。
で、差が明らかすぎて恥ずかしいのか、各国の現場力が如実にわかる「世界のワクチン摂取率」を日本は余り報道しようともしない


また残念ながら《日本国産のワクチン》もない。そういう科学力のテストでもあった。

あるかもしれない、私が知らないだけで。
アビガン? 一時話題になったね。

水面下ではかなり政治(外国製薬会社の押し売りと駆け引き)もあったろう。だがいずれにせよ、この「発明競争」に「輸入べったりを選んだ」という現実は言える。そこにおいて、プロダクト精神も後退しているのではないだろうか。

なにもシオノギや武田など、製薬会社の競争力だけを言っていない。多くの企業が短期決算の中、研究費・開発費という「未来の投資」にどれだけのリソースを費やしてきたのだろうか。

ロシアはロシアで自国のワクチン作りにやっきになったし中国もそうだ。それはなんとも、プライド・矜恃という意味で自然な発露だし人間的な知性だ。——日本はどうだったろうか。


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II

もちろんこんな反論もあるだろう。

「言うても日本、コロナの犠牲者、少ないよ?」

と——。仰るとおり。日本はかなり少ない。
それにそもそも、任意だ。
ワクチン接種は自己責任であり強制ではない。足並み揃え「打たなきゃなんない」ものではない。
我々もこのソフト軟禁とを天秤にかけ考えるのだろう。で今、その物自体ではなく語りたいのは、


国の、行政の実行力だ。


あったのか?
また、あるのか?

ということ。どうしたいのだろう。説得力の話だ。
ワクチン接種にしろはっきりしたガイドラインを私は知らない。「何パーセントの摂取率でどうなり、どこを解放できます」など指針をちゃんと示しているのか(あればもっと増えるだろう)。
遅れている分、各国の統計データも揃っているだろう。なぜ示さないのだろうか。

市民の「自粛」に頼り、病院という企業内努力に頼った(むろん一部の病院は高熱患者をたらい回しにしたが)。ともあれ「今度は行政お前が実力見せてみろ」という局面で、どうだったのか、だ。


ここが数ヶ月、
いや、この一年通してずーっと問われている。


彼らはドーム型の一大接種会場を作ったろうか?
ダイナミックな援助策を打ち出したか?
それ以前に。しっかり「メッセージ」を語り切るような、名演説をしたリーダーはいただろうか?



じり貧で堪えてくだせえ、どうか、どうか!



こうしか言ってないではないか。芸がなさすぎる。
100万円あるいは200万円の給付金も「売上」だよ。ふざけおって。一部を国庫に戻すんだわ我々は。せこい! ザ・つるセコだわ。(ドーンと配りなさいよ協力ばかり仰いでないで。)
要するに我々は、赤子扱いにされてんだよね。


日本の行政は「有事」に本当に弱い。


縦割りで、自分の判断で実行することがない。
すっかりYESマンばかりで大局が看れず、だめだとわかっていても判を押す。そんなお役所の「いやいや伝言判子押しゲーム」を我々は毎日のように見させられているのではないだろうか。

でもその「いやいやゲーマー」が過半数以上いるとその国勢はどうなるだろうか?——そんな悪夢のような現実に私たちは生きている気がする。

しかしこれらの現象こそが、まさに赤子扱いされて当然の状況を生み出してはいないだろうか。
「こいつら、YESマンで自分で考えて行動しないから・・なめちゃっていいんだよ」とね。


むろん主語は国ではなく我々自身が問われている。

ヂ頭」「実行力」「リーダーシップ」。


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III

そもそもこの日本人の「受け身」気質の話。

260年続いた江戸幕府の転覆、というアクションさえ、クロフネ来航がトリガーだ。


外圧


という主語は変わらない。
また「内圧」が大得意なのもこの国の特徴だ。


このことは70年前の太平洋戦争でも言える。
最終年45年に、硫黄島を取られ沖縄を取られ、東京に大空襲があり、人類史上初の原爆が二発も落とされ、ソ連も北海道に侵攻し、そこでようやく



止まった。



それらはすべて「外圧」だ。
自らの判断による投了ではなく、外からの圧力でようやく止まったではないか。
(内圧が得意は先に述べた。洒落になってない)


つまり「いつから情けないか」と問えば、
もう、はるか昔から」でしかない。
「いつから受け身」って「もうずっと前から」だ。


この1年を達観し「日本がなぜ戦争で負けたのか」肌感覚でわかるようになった人は、多いはずだ。


動き出したモンスターは簡単にはとまらない?


勘弁してくれよ。


本当に歴史から何を学ぶんだ我々は? と想う。



ヂ頭」「実行力」「リーダーシップ」。


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IV


オリンピック周りも寂寥感とため息しかない。
実行力のなさは折り紙付きだろう。
当時呼びこんだ主要メンバーなどもう、いない
悪質なコメディの様なことばかりが続いた。


そもそも当時の安倍首相が「原発はアンダーコントロール」と言い切り、おもてなし条項も添えられる形で(これホント。自分たちで言い出したから契約書に「おもてなし」の義務が明文化されている)、2012年にふんだくってきたものだ。当時誘致に協力した選手たちのガッツポーズ、招致委員会の皆さんが抱き合う姿を私は正直、無感動な眼差しでテレビを通し見ていた。

その後もどっちが先だったか忘れるほどだが、エンブレム盗用問題があり、今は亡き建築家の法外な建設計画があり、それが落ち着いてこのまま行くかなと思ったら、中抜き構造が明るみになり、ボランティアは無給騒動があり、コロナが放たれた。

その後の長い悪夢のような右往左往も、改めるまでもなく、皆が知るとおりだ。


去年、ここでも賠償金問題の話は書いた。
現状、ぼったくり男爵の「上から目線」&重圧・植民地意識に対抗できる結束はできずにいる。

彼らスイスの男爵だけではない。

そのミニチュア版日本支部には「誰か達」がいて、収奪先はさらに絞られ「我々国民」となる。
無給のボランティア事件と全く等しく、我々自身が彼らを輝かす無給のボランティアなのだ。
そうして彼ら全体は企業の投資論理で動いており、このシステムと言うモンスターが止まる気配は一向にない。——まるで戦争がそうだったように。



「いつからこんな情けない国になったのだろう」



それは引いては「私たち自身」かもしれない。が、ダブルバインドもごめんだ。ブーメラン上等だ。
そもそも五輪をオレが呼んだわけではない



「呼んだ人たちだけでやってくれ。」



(彼らは税金で我々を巻き込んだが、やり口が汚ねえっての。公金なく成功したロサンゼルス五輪の爪の垢を飲めって話。
 この記事感動しますよ。一人の男がアウェイに挑む物語だ)



ダブルバインドとは「二重束縛と訳され、2つ以上の矛盾したメッセージを受けた人が、どうしていいかわからず精神的に束縛されている状態に陥ってしまうこと」だ。分かり易く言えば、

製本で片方を綴じるのが普通だが
もう片方も綴じてしまい
誰もその本の内容が読めなくなる


そんなことだ。多いだろ? この国はとくに。
だから勝手に納得したくもない。
勝手に納得したら、ダブルバインド。もうそれですっかり「忘れ」ちまうんだろう?「感動」という名の催涙スプレーで。「美談」という癒やしストレートフラッシュで。


少なくとも。
オレ個人は、今回に限ってはボイコットだ。


いいねぇーえがったねぇぇなど絶対に言わん。


オレほどのオリンピア(笑・でもホント。小さい頃から大好きさ)に、そう言わしめているのだ。

ボイコット。モスクワ五輪だと想って処置するよ。


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V


さいごに。
一つ、怖い思考実験をしましょう。



「もし自分が
 テロリストだったら?」



こう考えてみてほしい。


で。オレがもしテロリストだったら——


最新型最新株」を選手村にばらまく。
むろん競技会場も同様だ。
もちろん数ヶ月前から潜伏し、時を待つ。
そして東京発の新パンデミックを誘発する。
そののち、国際的に、日本を潰す。



不謹慎な妄想?


——どうかな。
これくらい暗い想定して臨まないとだめなんじゃないの。え? なんで日本を潰すのかって?
まあその先は言えないが悪魔的な手を打つのが「国際テロリストたち」だと言うことさ。怖いぞー?


相手の立場になって考えを潰せばわかるだろうに。そこにおいて「テロ対策」はどうなんだ?
ゴミ箱どうのの話じゃなく、もっと現代最新型の想定をどれだけしてるんだろうか? あるいはサイバーテロを起こし放映元をショートさせ、示談金を日本国からせしめたりするだろうね。

日本の、3週間に渡る「脅迫週間」だよ。
対してこの国のセキュリティは、割とお気楽でお花畑なんじゃないかな。


——以上、暗い想定はおしまい。
この記事もここで終えます。


なお日本人の「奇習」に関しては、ここでも詳しく書いています。
各記事は「サッカー」に「アイドル」とトピックは違えど日本人論です。読んでくれると嬉しい。



ではごきげんよう