わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

True Tone パート2

せっかくなので、続編。
カラーについて自身の感慨をもう少し紹介します。


一昨日こちらで書いたとおり「てめえの見てる作業モニターが壊れて」いれば、説得力はない。笑
けれども、私なりに考えはある。
ので紹介します。

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Teal & Orange


◎ガンマ先生
前述の通り、私にとってもっとも重要な値。
淡さ・・とは単なる色の彩度を薄くすることでは決してない。たとえばガーリーなものを作りたいのなら、ガツンと光を解放することだ。

要するに、透明さに関わること。
黒を絞めるのか。光をどれだけ入れるんだ?

でもこう書くと「単なるTIPS」と捉え表層のみを捉えがちなので注意することです。全くそうではなく「飽くまでストーリーに沿うこと」が重要すぎるわけです。で、このガンマというのは一度数値を決めたら動かさない。シーン別ですらない。その作品別、という値。
それほど企画そのものを予め「決めきる」値だ。光をどれ程通すのか。カラリスト・演出者自らが。
態度、と言った方がいいかな。その作品への態度を決めることになる。

もっとも、こいつは「本当に怖い値」。
昨日の通り、自分の見てる画面が狂ってると真っ先に「意図」を暴力的に破壊するのがガンマだ。
だからこそ、WindowsMacも「この値は固定を推奨します」と書かれているのですよ。

たとえばオレの場合。随分前の話だが、大好きな、大好きなミュージッククリップがあった。
で、そのDVDすら買って見るものの、色が違う!


これはオレの好きだったクリップではない!


なんて想ったら、自分のいつものモニター設定が狂ってただけ、ということがある。笑
しかし。ココカラが大事。なぜなら今でも、あの時のモニターが出した画の方が

断然好き、

だからだよ。で、そこからガンマの重要性を痛感して考えるようになったわけだ。

たとえば絵画といっしょ。
あの時に見た絵・・・どうも画像検索で見るPC写真の絵はちがうんだよなぁ・・みたいなさ。
で、その「差」は(心の)ガンマに限らず、その人の好みに関わるから深く解析した方がイイ。
ちなみに。
絵画の見方はここにしめしてあります。



◎色の濃さ・彩度
これも途轍もなく大事よね。私はというと基本的に



うすくち醤油派。



でも最近は、こってりも相当やるようにはなりました。笑。それと世間のプリセットとして、色は


濃い口


に乗ってるもの。
それはソニーにしろキャノンにしろどこにしろ。写真の素はかなり濃いと思うよ。
もっとも最近はシネトーンが発達して、だいぶ淡口になりましたね、予めの素材が。
(まさにガンマが効いてるわけですが。)
大抵の素材は色が乗っているもんだ。
そこをどう捉えるかというところ。で、テレビ機なんてまさに色の濃さ全開でしょ。


音色だよね。色の濃さは。
とても大事なフレーバーに想う。



◎加工について
この色のノードってトレンドがでやすいかもしれないね。現代的な表現はコントラストと色合い、となる。こだわるならたとえば、


ティールオレンジ


というカラー設定が欧米にはあって、一時期めちゃ流行ったし


銀残し


という往年のクラシックな手法など、それこそカラリストの「門外不出」系テクニックの世界になっていく。黒に何色を混ぜる、とか、まさにガンマカープの世界だったり。でもどうであれそれらは、やればやるほど


人工的


な絵にはなってゆく。
このあたり、好きな人は好きでしょ。
私個人はもしこの「人工的」で作品自体いくとしても、ある程度プリセットを選ぶだけだし、その効果の値はうすくち、ハーブほんのり程度だなぁ。
だってスタイリッシュさ? たしかに認めるがそれとストーリーとのバランスのほうが大切だ。色はいいんだけど話つまんなくね?とかそれこそダサいでしょ。笑。行き過ぎたカラーは話の邪魔になるだけだ。そもそも話にふさわしいのか?、という点こそが大切。スタイルだけのポーザーは一発でバレるからな?とは言っておきます。



それと。
以前知った話だが、白人の瞳って薄くてブルーアイでしょ? で、それ様に


映画のカラーもできている


という話を聞いたことがある。つまり、オレ(あるいは日本人の多く)が見るとどこかグリーンが効いてて色のこってり乗った画(ああハリウッド映画だなぁ)でも、実は白人がみたら


それが普通


の色具合かもしれんのですよ。笑。
へたすると、彼らにはパッキリ適正に映ってるかもしれず、まさに先ブログで伝えたとおり、なにがただしいかなんてわからず、みなあやふやな所で「いい」をやりとりしてるのかもしれないんだよね。
それと雪国は寒色が当然多く、南国は乗るもんだ。つまりそこの地域の人もそういう特性にあり、じっさい北欧映画はさっぱりしてるもんですよ。


あるいはメディアに触れる「時間」。
これも計算にいれて然るべきだ。それが、

一枚絵なのか?
15秒なのか?
2時間なのか?

前述ストーリーとの「バランス」の話同様、出力するメディアによって当然要求はかわるものです。



◎カラーは演出の一つ
当然すぎることながら、そう想います。
つけるにしろ、つけないにしろ、だ。
その決定、態度、その意識が本当に大切でしょう。
オレは編集室で解説することがあります。


「ほら。ここ、はじまりよりだいぶ暗いでしょ」


と。
大体、言われて気づくものなんですよ。
つまりシーンが進むにつれ、それに「ふさわしい」明度を選ぶ。これはテクニックでもなんでもなく、意識だ。物語る意識をもとうぜって話。

でもこの要素。
短尺ばかりだと編集マン・カラリストでさえ虚を突かれる所なんだわ。樹を見すぎです。森を見て。

タクトをふる。それもそれとわからずに。
こういう意識が好きだ。それはカラーに限らない。演出は狙いを定める、ということです。



光の次は【編集の話】をします

loki.hatenablog.com