今日、興味深いニュースに触れた。
BS1「国際報道2023」内のニュース。
イギリスの公共放送BBCがガザのこの度の事変にて、ガザ地区の組織ハマスを「テロリスト」という言葉を使わず報道していることに政府・首相から勧告が行われている、という報道だ。
「過激派ハマス」「武装組織ハマス」とは言っても頑なに「テロリスト」という言葉を使わないBBC。
BBC本社前ではユダヤ団体や市民のデモが起こり「テロリストという言葉を使え」と抗議。BBC会長は首相からも勧告される事態となる。しかし、
BBCはこれを拒否
「テロリスト」という言葉を未だ使っていない
というものだ。
このニュースではその背景も伝えている。
一つにはBBC内に存在するガイドライン。
BBCのガイドラインには
「テロリストという言葉は物事の理解を阻害する単語なので、公共放送として使わないこと」
とあるようだ(上記はうろ覚えだが大意)。
なので今回のガザ地区の事変にもBBCは一切「テロリスト」という単語を使っていない。
もう一つは、この抗議行動は政治カードでもある、という分析。来年の選挙への政府のパフォーマンスの側面もある、とこのニュースでは報道していた。BBCの局長はインタビューに臨み、
「パレスチナ問題は長い歴史の中にあり10月7日になって始まったことではない。我々は物事を深く理解する必要がある」
という趣旨のことを語った。
______________________
小さな特集で5分程度のニュースだったが、
「こういうのがあるから国際報道はいい番組だし
BBCもカッコイイねえ」
とオレは感じた。
国の公共放送に「言葉」の強制ができるのか
という点と、それが民主資本主義国の一つのリーダー的存在(であるべき)イギリスで起こっていることがたいへん興味深い。言うなれば、
ナニ人、という立場なく公共であれるのか
というテーゼを内包している。
「テロリスト」という単語はもはや政治用語だ。
この言葉は立場と思想を内包しているから。
だが少なくともBBCは知っているということだ、
立場が違えば
テロリストと正義の味方は逆転する
ということを。
オレにはBBCが至極真っ当な見解に立っていると思える。だからこそガイドラインにも「物事の理解を阻害する」と書かれているのだ。つまり、ガイドラインにも「歴史」がある、ということであり、本当に物事の理解の助けにならない。局長も「この問題は10月7日に始まってない」と冷静で実にいい。
いわゆる「西側」の牙城の一つイギリスという点でこれは「我慢比べ」のようなものでもある。
BBCが、国民の大多数の抵抗にあいながら「理念」を掲げ続けている、というこの構図。
そもそも「過激派」とは原稿にも使えるわけで、充分じゃあないんかい、民衆よ?とはオレは想う。
翻りイスラエルの攻撃もまた過激ではないのか?
くり返す。
イスラエルの攻撃もまた過激ではないのか。
またイスラエル建国にはイギリスが深く、深く関わっていることも、本当に何とも言えんわ。
この記事では歴史の入り組むパレスチナ問題には踏み込まない。だって乱暴な例えを許してもらえば、日本が樺太に侵攻したら泥沼なのと一緒だから。
しかし「テロリスト」という単語には反応したい。
テロリストと言う言葉は都合で出来ている。
そして私の感慨を。
BBCの態度はエライ
これからもがんばれ。
あと、政治的見解を言うならば、
即時停戦一択。まずはそれしかない。