カタール大会から日本代表が帰国しました。
今「続投」が囁かれる監督人事について。
あくまで自分の感慨を書きます。
(3600字ありますからどうぞ気楽に!)
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3年ほどでしょうか。私はずっと「アンチ森保氏」の立場を執りました。それは選手のレベルに比べ監督の質を疑わしく想っていたからです。大会前、それまでの無策への言及もしていました。
ところが蓋の開いた、W杯本番のパフォーマンス。
ドイツとスペインに勝ったこと。トーナメントまでいけたこと。その快進撃は私も「概念」が破壊され新たな可能性が目の前に広がりました。それこそが今代表の最大の功績であり、喜びでした。
ベスト8まで行った際は「オレも謝罪会見か・・」と覚悟していました、本当に。
どんなに4年間のプロセスが歯切れ悪くとも「ベスト8は自分も悲願」なわけですから私も然るべき態度を・・と考えていたのです。
結果はクロアチアに負けベスト8には届きませんでした。代表ファンとして本当に行ってほしかった。
今は「おつかれさまでした。有難うございました」という労いと謝意を伝えたいです。
そして次の4年を考えたとき。
・・・・・・。
私はそれでも森保氏続投に票は入れられません。
今までのプロセスと、今回の本番での感動を天秤にかけても、やはり私は「NO」としか言えない。
その理由や感慨を述べたいと想います。
◉現象の類似と再現性への疑義
今回本戦でドイツスペインを倒しました。
「バカのふりだった」「名将」と世論は完全にフィーバーしましたが、私はいつも「ぶっつけ」という要素を正直、割り切れずにいました。
(ぶっつけとは「今までみたことなく、いきなり」という意味です。今、良い意味で使ってません)
ドイツスペインを倒した「パルプンテ」も。
思えばアジア予選キワのオージー戦、田中浅野が得点した「433」も。全てが「ぶっつけ」です。
むろん秘策とは秘してナンボです。
が、私が今言いたいことは、少しちがうことです。
それで「成功体験」を得たことは不問です。
しかし「そのメソッドを数回繰り返し、のちに停滞する」という現象は悪く言えば今回もそうだと指摘したい。——433の選択と停滞の歴史同様に。
奇襲アタックとは賞味期限の浅い戦法です。対策されればまた地力通りに戦うしかありません。
「パルプンテ」も4試合目のクロアチアには三苫への対策が行われ、賞味期限を終えました。
これらは「アドリブ」性が高く、再現性は低いと言わざるを得ません。そしてこのアドリブ性の高さ、再現性の低さ、要するに「戦略の柱」なきは4年間ずっと形を変え続いたことでした。そして何より「アドリブ」は「アドリブ」であり本流ではない、と私は考えます。
もしもう一度ドイツスペインと戦ったとしたらどうでしょうか。アドリブには再現性がないのです。
◉主体性の限界と無形の年月
「選手達にすべて任せる」という姿勢も一見美しくみえそれも一理ですが、さあどうでしょうか。
選手の知見をそれだけ吸い出せますが、同時に選手の知見の限界がチームの限界ともなるでしょう。
短期的な「絶対勝負」における、森保指揮官の決断を私も否定しません。
交通整理も「戦法・忍術」も現場には必要と思えます。が、その「計測時間」を短期で見るか、長期で測るか、で話は変わってくるでしょう。
同じようなことが2010年の岡田ジャパンでもありました。当時岡田氏はオシムさんの体調不良を受け監督となり、それまでの攻撃的な布陣を諦め短期決戦用に、超守備的シフトをしました。が、
彼はピンチヒッター
なんですよ。4年間チームを作ったわけじゃない。
でも森保氏は4年任されていたのです。そこでこの「無形」「カメレオン」っぷりをどう考えますか。
無形。型のなさ。
スペイン戦からも考えてみましょう。
コスタリカが執り固かった「54ブロック」をいいねぇと逆にパクり、スペイン戦で「54ブロック」を初めて前半から敷きました。むろん「ぶっつけ」です。今まで4年間で試みた形ではありません。
ブラジルとの親善試合でさえ、4231なのです。
でも、勝った。勝つんですよ。笑
ここに噛みきれないジレンマが横たわります。
勝った
勝ったことのない相手に。
それはすばらしすぎることだ。
だが、いったい
4年間
何が積み上がったんだろう?
——と。これはなかなかの禅問答ですよ。
◉そして5ー4ー1は完成せり。
否。——やはり問題なのです。
じゃあ4年も要らないじゃん、となりますから。
4年間の積み上げは一体何だったのでしょうか。
5−4−1を完成させるための4年間だったのか?
あるいは3バックを? はるか3年前、森保氏自身が諦めそれから磨いてこなかった3バックを?
私にはよくわからない。
(ちなみに! 私は2年目で諦めてた3バック支援者でしたよ。なんでやめちゃうんだろ、と。それが本番急に現れたら複雑な気分にもなるわ!)
どうデザインして4年の計画をたてるのか。
そもそも。どんなサッカーを掲げるのか。
言い切ってほしいと思います。
——フワッとした言葉でなく!
そうでないと見るべき柱が立たないから。
この宿題は眼前と残っています。
◉続投論について考える
逆に「続投」を推す人々の心理に問いたい。
彼らが全面的に「勝つ」ことにコミットしているのであれば「悲劇」も待っているかもしれないよ?
ということを。また森保政権が始まったとして、
塩試合に耐えれますか?
と。次のW杯まであと4年もあります。
期待値は高くしない方が良いでしょう。
もちろんドイツ戦は感動しましたよ。
そりゃもちろん。私もはげしく感動しました。
でもその「感動」が一時的なもの、だとしたらあなたはどうしますか? と問いたいのです。
それでも構わない。みてみよう。というなら私はなにも言えず、今は情緒は切って問うのみなのです。
◉続投のメリットデメリット
続投周辺について、引き続き考えてみます。
もちろん、次はもっとより良いかもしれません。
ゲインロス効果によって今、森保氏への一般的求心力はハンパなく、氏自身も「やりかた」がよりわかっただろうからです。「守れることは証明した!」「次は攻撃だ!」となるのかもしれません。
デメリットとしては今回私が書いたとおりのことを挙げたいです。それに加え「攻撃陣の造反」は進むように思えます。攻撃のデザインがないからです。
また「続投のほのめかし」は単にJFAにお金がないから、というミモフタな邪推も囁かれています。
◉私自身の見解と希望
そんなこんなの中、おそらく森保さん自身がこの「クレイジージョブ」を固辞し、次の4年は違う指揮官の下、立ち上がるのではないでしょうか。で、
私はそれがいいと思います。
モチベーター型の監督に4年任すのは長すぎます。
それより日本はまだまだ学ぶべき事があると考えます。それは「ダウンスリー」戦術だったりピッチ上の約束事、とくに攻撃のデザインを、です。
選手達が素晴らしい実力の持ち主なら、なおさらそんな戦術の吸収を求めるのではないでしょうか。
森保監督に感謝を伝えます。有難うございました。
その上で、私は戦術を落とし込める他の監督に願いたい。4バックと3バックを扱え、敵布陣にも対応した攻撃の設計ができる監督を。自分のデザインを「言い切れる」監督を招聘して欲しいです。
世界的には我々はまだサッカー中堅国です。
むろん実力向上の末のドイツスペイン越えでした。が、ベスト8の顔ぶれを見てほしいのです。
結局、モロッコ以外並び立つは強国ばかり。アジアも3ヶ国がベスト16で散りました。
この表をみると私は腹立たしく思います。だって「彼ら」に安堵を与えてしまったんだからね!
W杯では打倒ヨーロッパの闘いが続きます。
くそー。やるぞこのやろー。なんですよ。
◉トーナメント技術の重要性
次は「48ヶ国開催」になります。
アジア枠は5から8に増えます。このことは、
予選の形骸化
を物語っています。アジア諸国には悪いけれど正直「緩んでも」出れてしまえるように思えます。
いよいよアジア予選とW杯本番は乖離し、
予選での攻撃型布陣
全く使えないじゃん
といういつものループがただ強烈になるだけかもしれません。そんな中、どうデザインし、どんな態度でアジア予選に臨むのでしょうか。
今回みなが感じたとおり、トーナメントの経験を積むことが大切でしょう。
アジアカップなどガチ戦は成長面でより重要で、かつ取りこぼせません。なぜならアジアカップに優勝した先の「コンフェデレーションカップ」という、メタルスライムの経験値こそが欲しいからです。
次の監督はまた難しい舵取りが待っています。
◉ワンメッセージ
最後に。
お近くにその地域のJリーグクラブがあると思います。どうかみなさん応援してください
これは長友選手の敗戦の弁です。
一方で私は、このメッセージに心を動かされます。日本代表の彼らも出身はJリーグであり、町の少年クラブです。W杯という巨大システムにふれずとも「喜び」と「成長」は目の前に充ち満ちています。
こんなことをしたためて、おしまいとします。
長文になりました。
読んでいただきありがとうございました。