・・というわけで、ワールドカップ。
グループリーグの初戦16試合が終わったので、感慨ブログを書きたいと思います。
後半はドイツ戦のレビューもあります。3600字と長いから気楽にね!
●初戦は「世界サッカーショー」
4年に一度の大見本市。今年はカタールだよ!
と、そんなW杯では「第一試合」がほとんど全てだろう。初戦は1/3の割合・・ではないのだ。
各国が組み上げた「国産スーパーカー」のスペックがひとところに開陳され(ワイン片手の)品評会が行われるからだ。そのスーパーカーの駆動馬力、コンセプトや先進性が露わになり、自ずと大会中の運行可能距離・ポテンシャルも測られる。
そして「第2・第3試合」はドメスティックな、まさにリーグ間の泥臭いストーリーに焦点が移る。
こじれると前回ポーランド戦での「負けてんのにパス回し」のようなことになっていき、まあ、本当に初戦こそが「ワールドカップのロマンのすべて」だと想う。
●グッドフェローズ
なので毎大会初戦が楽しみなんだが、
セネガル
イラン
カナダ
とくにこの3チームが「初日」は出なかったものの見てて気持ちよいチームだった。
セネガルは「アフリカのムラッ気ゼロ」。
あの、アフリカ特有の短気さが全くなく、知的で統率もとれ、かつ走るグッドチーム。さすが全員欧州所属だけあり、バイエルンのマネが負傷欠場してなかったらと誰もが思うチームに仕上がっていた。
イランはイングランド相手に2−6で落としたが、キモチの届く素晴らしいチームだ。
なんとか1勝してほしい。・・ってもう第2試合始まるのか!(25日18時時点。)
んんんんやったあああああ!!!
イラン、アディショナルタイム弾!!
ゴーゴー、イラン!!!(現在)
カナダはまさにグッドチーム。
バイエルンのデイビスが素晴らしく、北アメリカ特有のシステマチックで献身的に走るサッカーは見ていて気持ちいい。1勝を願う!(・・てちゃんと直近日本にも勝ってるからね? 2−1で。)
●グッドフェローズ II
初戦を勝ち大会を好発進した「グッドチーム」にはむろん、日本 が堂々と入る。これは大会全体を見わたしても、それだけサウジアラビアと日本は今大会を代表するチームとなった。
強国・優勝候補の国々では、
6点とったイングランド。
7−0のスペイン。
リシャルリソンのバイシクル、ブラジル。
各国が初戦「立ち上がりの困難さ」に直面する中、この三カ国のパフォーマンスは「吉」に転がり、かつ「獲って欲しい選手がとり若手も育成」できた思い通りの初戦を送った。
イングランドは日本同様代表監督への「嫌疑」を弱含みながら今大会に突入したチームだった。が、イランの5バックを崩したのは大きな自信となっただろう。スペインは懸案の「若手爆発」がすでに発動しており、ああそういえばうちらやるな、と。笑。ルイスエンリケは本当に若手の登用が見事だ。ブラジルは苦労しながらも最終的には爆発。ただネイマールがケガしたとかしないとか。
●日本は台風の目となるか
「もうグッドルーザーはたくさんだ」
これは大会前の吉田の言葉だが、ドイツとの初戦はただの一勝ではなく、
日本サッカー史上最高の勝利
であり、歴史的な瞬間を我々は目にした。
むろん「選手の実力」に違いなく「これが日本の実力である!」と逸りたいだろうがちょっと待とう。
クロアチア 1−0 日本 (1998)
ベルギー 2−2 日本 (2002)
ロシア 0−1 日本 (2002)
クロアチア 0−0 日本 (2006)
オランダ 1−0 日本 (2010)
デンマーク 1−3 日本 (2010)
ギリシャ 0−0 日本 (2014)
ポーランド 1−0 日本 (2018)
ベルギー 3−2 日本 (2018)
ああ・・リストにすると何て短いんだ・・。
1998年初出場フランス大会から数え、欧州国とのW杯の公式の結果が上記だが、
2勝でしかなかった。(20年間で)
それも勝ったのはロシアと当時のデンマークという中堅国に対するソレであり、即ちドイツ戦勝利を「進化」と捉えるには「ミッシングリンク」が横たわる。つまりそれほどの快挙であり偉業なのだ。
「奇跡・フロック」
奇跡という言葉には次がない。
日本はフロックだろうか? ただの奇跡なのか?
「完全無欠のポーカー勝負に勝っただけだった」と言われぬよう、2戦目3戦目に真価が問われる。
くどいようだが来たるコスタリカ戦。
以前書いたように「0−0」のなんともいえん試合だけはしないでほしい。
「確変」「ムカフン」「キノコ食べたマリオ」モードに入っている今の日本。コスタリカにはしっかりと勝ち、控え選手たちの自信と勇気も上げ、仕上がっているスペイン戦に向かってほしい。
●だけどしみじみしよう。
・・なんだけど。まー。もうね。
すごいことですよ。ドイツ戦勝利は。
しみじみとグッとくるわけだが、ふりかえってみましょうよ。1点目なんかはさ、
「交代の全選手が絡む得点」
言うなればマンガの最終話ですよ。
主人公はやられててアトがないわけ。で、
今までの必殺技全部繰り出す
みたいな胸アツ展開なんだよ。
2点目なんかさ。ホットラインが超グッとくる。
板倉 → ジャガー
ですよ。つまりどういうこと?
オレはね、彼らが「何本痛み止めの注射打って臨んだろうか」と想う。それは富安しかり。
負傷をかかえながら、いや、選手生命を賭けながら戦う彼らのホットラインで得点が生まれたんだよ。
でさ。最終フォーメーションなんか
3−1−6
だよ。これがむちゃくちゃ面白くてさ。「まさかの3バック」=何年も諦めていた布陣 を敷くんだが
DF 富安 吉田 板倉
DMF 遠藤
と、まさに「日本を代表する」「これで破られたら本望」の布陣でさ、それも
敵ドイツ攻撃と同数
で守るんだわ。
過分・余剰一切なし。オレラ4人で守るから
お前らイッテコイ。
激アツ。
ちょっとすごすぎる、どれだけ最終話なんだ。
本当にいいものを見せてもらった。この試合は本当に日本サッカー史上燦々と輝く試合となった。
なんか霊的な一戦なんだよ。できすぎてる。
この試合に霊性を感じるのはオレだけではないはずだ。カタール・ドーハの地というのもむろんその霊性の一つだ。森保一は30年前の忘れ物をひろった。それも相手はイラクではなくドイツから。
日本サッカーに携わる全ての人へのギフトのような、霊的な何かを感じざるを得なかった。
●ドイツにも言及す。
結果論でしかないがドイツにも言及したい。
怪我人の多さには各国泣いているが
ドイツも同じであり、より深刻だった。
ザネの負傷欠場のツケは大きく、ムシアラを秘密兵器にできなかった。クロスターマン不在の右SBはジューレ。彼は素人目にもよくなく、本来の適性ポジションはCBだろう。負傷明けのゴレツカも最後登場したがまるで「早すぎた巨神兵」のようだった。
ネーションズリーグで発症中の「決定力不足」は日本戦でも引き続き、日本を大いに助けた。バイエルンでは好調のニャブリも終始「いるの?」だった。
また指揮官フリックは大会屈指の知将だが「策士、策に溺れる」という点も見過ごせない。
その露呈がラストだ。高さでは分があるのだからパワープレイに出れば良いのに、終始ビルドアップ。ここに今大会のドイツの生真面目さが顕著に出ていた。そしてその生真面目さゆえか
前半のドイツ、おそろしく緊張してた。
考えればもっともだが「2大会同じ過ちをくり返してはならない」というプレッシャーは旨い方向にいかなかったようだ。前半、それでも「美しい攻め」を重ね日本をはるか後方にピン止めした。が、彼らの中にも蝕む問題があったということだ。そしてフリックは知将ゆえだが、森保の掛けた後半の
パルプンテ
にものの見事に混乱した。
というか、オレも日本中も混乱した。ん・・なんだこれは・・これは3−1−6かっ!!!、と——。
まさかの「ロマン仕様」の布陣にフリックは完全に混乱したし、その3バック5レーンはドイツの幅のある攻撃を見事に停めるロジック性も併せ持っていたのだった。
とにかく前半を0−1で折り返せたこと。
これが勝負のひとつのアヤだった。ドイツのシュートがもっと枠に飛んでいれば、そして2点目をとられていたら、その「蛇口」は一気に開いたのだろうと感じた。
●森保指揮官について
森保監督の勝負師としての度胸を認めざるを得ない。すごすぎる一戦を披露した。
それにドーハの悲劇に終止符を打ち、お釣りがくるほどの恵みをもたらしたこと。それらにむろん敬意をもつし、謝意も述べたい。
が、手のひらは返さない。
これがフロックでないと彼は証明しないとならず、そもそもこの
敵を欺くにはまず味方から。
バカのふり大作戦だもんねー
そんな作戦に4年間巻き込んだのなら「ちょっと勘弁しろよ」がオレの正直な本音だ。どれくらいか?
つまり3年以上の長きに及ぶんだわ。
3年以上、先制された試合を逆転できてなかったんだっての。これもマジの数字なんだよ。
当然ながら、今回の3バックもぶっつけだ。
だから「勝ちゃいい」にはオレなりの異議がある。
まあ戦後フィーバーの只中「続投」論がすごいことになりそうだけど。
ベスト8には多くの壁がこれからも待っている。
選手達、がんばれ!