2021年10月12日。オーストラリア戦ホーム。
結果は2−1で、日本が勝った。
これで2勝2敗。勝ち点は6。
書きますか。
「森保更迭論」の論陣は2年前にすでに張っており、ある意味でそうだと、
「勝つと歯切れが悪くなる」
というのがこの「型」のセオリーだが(笑)
「プロセスにうるさく言う」
姿勢に変わりなし。
「勝てばOK」論には懐疑的なのでね。
いつだって選手はベストを尽くすわけで、そのヘッドや方向性とは分けて考えていますよ。
そりゃね?
情緒では「感動をありがとう」でいいですよ。
森保指揮官も君が代で今回泣いてましたよ。
それくらい追い込まれているし、そこへの情緒と配慮もありますよ。翻ってスポーツに熱くなれること自体幸せなことですよ。物価は不気味にあがっているし、ミャンマーでは今も政府軍部とレジスタンスの間で死傷者がでている。閑話休題。続ける。
◎繋がった。が森保包囲網は継続
当然ながら「森保」への(ジットリした。笑)視線は継続中。
この豪州戦で1点目を決めた田中碧の試合後の発言からも「継続」でしかない言葉は飛び出ている。
田中碧「今回の布陣はぶっつけ本番で・・・」
・・・。
ん?
ですよ。遠藤守田田中の中盤は「ぶっつけ本番」。
もっとも。このコメントの精度はわからない。
どこまでの範囲がぶっつけだったのか——。
何日前からぶっつけだったのか、ということが。
今回のMFの「スリー」が「戦術」だったかどうかは、のちの歴史が証明することになるだろう。
◎ビバ!アンカー思想
サッカーにおいて最初の「布陣」。
これらは試合中もかわるが、それでも「メッセージ」のある布陣かどうかは大切だ(当然ながら)。
その意味で豪州戦の布陣に私は、
めずらしくメッセージを感じた。
「これなら負けても後悔ない」か
「こんなで負けてはかなわん」か。
今回は前者だった(森保Jには珍しく)。
人によっては大迫ではなく古橋だったかもしれない。が、・・そこは森保Jだ。
彼にしてはチカラ一杯の布陣だったように想う。
「やっとアンカーつけたか・・」と想ったわ。
4−3−3。
または4−3−2−1のツリー。とも言える。
硬直した2ボランチ思想にメスを入れただけで、オレの溜飲は開始前から少し下りましたよ。
で、これはきっと多くのファンもそう想ったはず。
なぜか? ——それは、
ビルドアップが安定するから
(少なくとも今の日本では)
◎4−3−3をやってみよう
中盤を3枚にする4−3−3。
インサイドハーフの役割とアンカー(=1ボランチ)を遠藤・守田・田中碧がシェイクしながら作るこの工法。もちろんメリットとデメリットがある。
メリット
●中盤下段が厚くなり、ビルドアップに長ける
●同じことだが動ければギャップを作りやすい
●サイドDFが高い位置につけられる(重要)
●つまり酒井と長友。彼らの特徴(攻撃参加)を活かしたいならアンカーシステムは試すべき
デメリット (主に中盤スリーの人材編)
●ジアタマがなにより必要
●ダウンスリー技術必須
●守備面・強く保たないとベタ引きになる
●インサイドハーフの仕事が膨大
●そもそもインサイドハーフの仕事はむずい
●この三枚の消耗もはげしい
●鎌田・三好は出れなくなる。笑
●要するに「人を選ぶ」戦術
デメリットの方が多そうじゃん?
と想うかも知れないがこれらは「同じ」ことを言っており、デメリットは「人材」に集約される。
中盤スリー人材へのジアタマ要求は相当高く、こなせる選手かどうか? がとても大きい。また、
トップ下とインサイドハーフは違う。
今回の三人のように攻守で「イッテコイ」できるかどうか。ゆえに人をかなり選ぶ戦術なんだよな。
私は大好きだが。(そもそもアンカー布陣が好き)
◎田中碧にみるこの型の激しさ
実際、この試合の田中碧が「型」を象徴している。
彼は前線、それもサイドに張ってシュート。
見事ゴールを決めたがそもそも——
〈この位置までこれるかどうか〉
がまず問われる。
守りも、ビルドアップもした上で、だよ。笑。
試合を想いだしてもらいたいが、守田も田中碧も、たまには遠藤も前線まで顔を出してたでしょ。
田中碧が象徴していたのはそのデメリットもだ。
〈消耗激しすぎ〉
彼は最後は動けなくなり、トップで休むことに。
ここは個人的には、往年のイタリア代表の麗しい記憶(攣ったマルディーニを前線で休ませたマッサーロの美談)も去来するのだが、彼の消耗もまた「必然」だったということ。
もっと言うと。
守田と代わった柴崎選手がこの試合で「リベンジ」果たせなかったのも、戦術的不一致なんだわ。
この試合で中盤のスリーができた選手は
守田・遠藤・田中 のみだったということ。
(守田と田中はフロンターレで鍛えられている)
他に誰が控えていようが、選べないってこと。
意地悪を言っていない。
むしろ柴崎(や実は長友も)が昨今遅れをとって見えるのは時代的「進化過程だ」とも言えるんだよ。
彼らの才能や経年云々ではなく「サッカー自体が進化し特性が問われる」から。ここが今を視るカギ。
この「勝負」にでた時点で、鎌田と三好を出せなかったことも、ある意味でコレクト。彼らもまた一流だが、ブロック間で受けるトップ下気質だからだ。
このように
面白くも難しいのが「組み合わせ」なんだよ。
ただ「名前が揃えば勝てる」代物ではない。
だからサッカーは面白い。
・・ということに
「指揮官森保は気づいているんだろうか?」
(「偶発性」ではなく、流動する「空間戦略と適材適所」をどこまで意識しているか)
という話はまた別の話。
今日はコレクティブでいい試合でした。
ベトナムには(どんな布陣で臨もうが)さすがに勝つはずなのでこのシリーズはしばらく休眠だ。
おつかれさまでした。
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〈追記〉10.13
豪州戦、後半の後半の話。
●守備面・強く保たないとベタ引きになる
とは、なった。
それはそうで90分通せる戦術ではない。そこで
85分の交代に、森保氏の課題も見えてくる。
浅野が入って決まった78分の交代はいい。森保氏一世一代の賭けが成功した瞬間だ。
課題にしたいのは〈85分〉の交代について。
守田 → 柴崎
長友 → 中山
ここ。これはリプレイスで、毎度の事ではあるが「日本人監督の悪癖」すら感じる。
柴崎を入れるメッセージ「チャンスを与えたい」は感情面ではもちろん「よし」以外ない。
だが、戦略と意図は問いたい。
この時間には「4−3−3」がハーフ人材の疲弊で壊れていることは明白の状況だ。
そこは誰が悪いということではなく、その布陣を敷けるほど体力は残ってなく役目を終えている。
この〈85分〉の交代で言えることは、
4−4−2 に戻すメッセージ、などがない
ということなんだよ。森保氏は一度アタマでフォーメーションを組んだら、その可変がない。
選手の入れ替えだけで「なんとかする」。
「なんとかできると信じる」。
この交代自体が悪いとはいわない。
が、4−3−3が役目を終えている中、
「フォーメーションを変える意識があったか?」
と言いたい。
その取捨選択が彼の意識下にあっただろうか。
長友 → 中山 の決断の「前」に、フォーメーションをかえる意識がどれだけあったか、だ。
(単純な入れ替えだけなら中山はもっと早く出すべきだろうに。長友が狙われ始めたのは60分過ぎからだったろ。疲れたから? やめないか、そろそろ、その考え方は!)
この悪癖は〈ベルギー戦の西野監督の采配〉と同じと言える。森保氏にもずっとつきまとう要素。
強豪国とのキワの勝負では影響多大だ。
この点は確実に課題だ。
追記、おしまいです。
〈一つ前、サウジ戦後のレビュー〉