わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

私家版/エディ・コイルの友人たち

TSUTAYAの「発掘良品」にて今年DVD化されたエディ・コイルの友人たち」(’73)
ピーター・イェーツ監督作、主演ロバート・ミッチャム。この映画に詳しくないが、日本未公開とのこと。70年代のフィルム・ノワールだ。
ノワール好きのオレとしてどれどーれ、どんなもん?と観てみた。結論から言おう。
 

スーパー地味! 地味すぎて見終わった後、
編集 しちゃったよ!!!
 
 
我慢できず自分のPCに取り込んで映画を再編集しちゃった。まさに個人による個人のための鑑賞!
じつは我慢できないと、たまにやる
 
で、オレ編集版。
見渡すと、ずいぶん面白い!!
現代にアップデートした!!のである。

自分で再編集してしまう。逆に言えば、それくらいこの作品は《気になる》/《気になった》のだ。もったいないというか、素通りできないなにかがあった。以下、編集のセンセーションを徒然と綴る。
 
 
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◎とにかく「ゆるい」!
たとえばN・ローグの「赤い影」に看るゆるさ。そういった、70年代初頭特有の風土というか。
いや、当時もむろん傑作はあり、言い訳にならない。
編集が「ゆるい」のだ。観ていて「これ、尺が半分でいいだろ?」と思ったものだ。
で、残念に思うのは、ストーリー自体はきっとゆるくない、とリアルタイムに感じる「予感」もあるからだ。テンポがあまりに野暮だから集中力が続かず、狙いを落とす。
 
いや、このテンポが狙いなのか?
おそらくその答えは「YES」だ。イェーツさん、だからあんたは野暮ったいんだよ!と思う。
 
EDDIE_COYLE_02.jpg
 
◎飛躍のアップデートは必至
編集の愉しみは飛躍にある。それは時と因果、両方のジャンプを差す。
なのに、イェーツさんは連続性(コンティニティー)にこだわりすぎている。編集すると「なるほど、なんでココで切らないか、わかったよ」という発見はある。しかしだ。
 
その仕込みや伏線が効かないなら、飛ばすべきだ。
せっかくの効果を野暮ったさが相殺しちゃうわけ。
 
フィルム・ノワールって「テンポ」が生命線だ。だって「説明しない」ジャンルなのだから。
モノゴトを帰納(結果Because原因)でクールに見せてく訳で、なおのこと急がなければならない。事件の断片をすべて「見せ」つつも、急ぐ。観客は待たん!とくに開始の30分!
あとこの監督、レーサー出身なんだよね。愛情からか車のカットをあまり切らない。オレは切る
 
EDDIE_COYLE_01.jpg
 
◎ミッチャムが効いてない
主演ロバート・ミッチャムと武器ブローカー(スティーブン・キーツ)との丁々発止がこの映画の魅力だ。しかし肝心の主演ミッチャムがだめ。
ファンの方悪しからず。(今となっては)大根に感じる。長回し気味の撮影も手伝い「うまいこと」言ってるはずなのに長いし、効いてないんだよね。
 
もうそういうのは、オレ編集版ではカットだ。
だって観客(のオレ)は次にいきたがっているよ

それと、言い訳めいた科白もカット!
ノワールとしてふさわしくないし、キャラクターの熟成にも相性が悪い。そういうしかるべきカットで、主演の魅力が失われるのであれば、それまでのキャラだ。
 

長台詞をいい具合にカットしてみたら、さあどうなるだろう?

 
と自分自身この編集で愉しみにしたのだが、これが面白い発見。ミッチャムが生き返った
「狙い」でありながらスベる科白や動作をカットしていくことで、キャラクターに潔さが出た。ミッチャム自身を締めることで、ネイキッド(むきだし)でタイトな緊張感が物語に創出。
このことが本当に面白い。
要するに、監督や俳優が思ってるほど科白の中身なんて大事ではない。ということだよ。
どの状態の誰をどう置くか?でしかない。
 
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◎S・キーツ、P・ボイル。あとサントラ
脇の俳優がイイから無視できないんですよ、この作品。とくにこれがほぼイントロデューシングのS・キーツ 彼の感度のよさったらね!
仏頂面ミッチャムと、反応豊かなキーツという組み合わせ。そしてもう一人の仏頂面ピーターボイルがまたいい。このヒトは「タクシードライバー」に出てたね。両人共もう他界されているが、ご存命ならタランティーノやロドリゲスの起用間違いなしだ。
 
それと、サウンドトラック。
これは、やたらいい!(そうとしか言えない。)音楽はデイブ・グルーシン
 
 
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このようにして、編集して愉しんだ映画「エディ・コイルの友人たち」再編集版。上映時間は

 
原盤 102分   82分

20分短縮。
グッと面白く傑作になりました!
 
水増し」ってある。
尺を伸ばしてみせる作品。いろんな思惑・予算から・興行面から「水増し」は存在する。
しかし、それらは絶対につまらなくなる。
その物語にはそのストーリーにふさわしい長さがあると思う。もっとも今回のオレ編集版が正しいわけでもなく、フィットすればいいと考える、遊び。
 
映画のこんな愉しみ方、いかがかな?
面白いし少なくとも、作り手側にとってはマストとも言える遊びさ。