昨日はオレをまさに試すような、最後のテストが待っていた。
撮影。
ロケだ。 それも、15時間のロングライド。
さあ、このタフなセクションを、君は生き延びることができるか? まさに最後の関門と呼ぶにふさわしい。結果を言おう。
私は耐え抜いた。 ロケという嵐の中を! しかし結論を言おう。
キャンペーンだから耐えれた、
としか言えん
とてもじゃないが、堂々と、シレッと「だからなに?」なんて、諦め切れたもんじゃなかった。想念として、ぶっちゃけ、超吸いたい。 吸いたかった。
その誘惑しかなかった。こんな記事も密かに書いてるし、2週間以上絶ってるから、とかそんな理由付けでしか、もはやなかった。
トリガーの嵐 である。
撮影は、ヒット&アウェイだ。 それは「日常」ではない。(それが仕事でも。) 「特殊」を臆さず進んでゆく。シュートしたら次の準備。 あるいは次の次の一手。 なにが今問題か? イメージの違いは何が正体か?
オレはカントクなので、全てのジャッジを瞬時に行ない(イイ方向に)進めなければならない。むろん、頭と身体を消費する。 そのくり返しのなかをふと訪れる、ひと握りの砂のような、休息。
ナニィいいいいいい!!!
ちょーすいてぇえええええええ!!!!
うううううぎゃぁあああああああ!!!
カメラマンさんとかさ、制作くんとか、吸ってるわけですよ。
「喫煙所」という名の魅惑スポットで。
前頭葉が脳裏に張り付きまくってるオレは、その上昇しては消えてゆく煙をみるたびに、唾をのむ。クドいようだが、もう体内にニコチンはない。 あるのは精神がもつ、解放されたいというトリガーだけだ。
けむりを吸い込んだアトに脳内を駆け巡る、電気の火花。 その結合が完了するような、あの感覚…。あのステージに立てば、妙案や、イイ考えが浮かぶかもしれんぞ……
それこそが即ち、「中毒状態」をさすのだが、そんな教科書みたいな覚え書きはギリギリでしか成立しない。
あのさ、非喫煙者って、こんな時、どうしてるんだろうか?
もうこれ以降は、あたらしい「愉しみ」を得るしか方法がないと思った。
「快楽」を手に入れパッチとして埋めなければ、出戻りは、容易にありうる。
最終テストを経たオレの感想は、そんな近い未来への予感でしかなかった。
しかしさぁ、こんな風にまで考え込んでしまう、「禁煙」っていったいなんだよ?
と思わざるをえない。
今、教科書的な話を聞いてない。
もういちど聞く、いったいなんだ? ベネフィットはなんなんだ?
快楽はむしろ、煙草のわなだと? だからそんな話は聞いてないんだよ。
どうしてんだみんなは?
プロデューサーは言う。
「一ヶ月後でしたねぇ。
スタジオの建て込みでね、明日本番ってときにちょうど自販機があってね」
バーのマスターは言う。
「一ヶ月後でしたねぇ。
ふと嫁のたばこがありましてね。 そのときなぜか吸っちゃいましてね」
「一ヶ月後」というエアホール。
この魔物をフツウに、今のオレならわかってしまう。
無理もなく、とても茶化す気にもなれない。
禁煙がもつ、ベネフィットっていったいなんなんだ? そんな自問はきっとその頃、ピークとなるだろう。 今日はこんな弱気なことしか書けん!! そしてこれから「編集」というフィナーレへと進んでゆく。