11日に決勝戦、青森山田ー山梨学院戦があった高校サッカー選手権。そして1月14日、AERAの記事がYahooトピックに上っていました。
これが原文です。
なんで原文をリンクしたかというと、Yahooが記事を削除したから。私は昼にトピックを目撃し「もう一度、とくにコメント欄どうなったか見るかな」と夜もう一度探すとどこにもなかった。
昼の時点でコメントランキングはスポーツ部門1位。つまり「炎上」していた記事だった。
むむ?と思ったので、今年一発目の記事はこれになる。苦笑。
なんか削除されると掘り起こしたくなるもの、というのが理由の一つ。それと実にコメント欄が興味深かったから。考えさせられた。
ちなみにこの記事で挙げられる(映像にも残る)青森山田指揮官の行為に対する「問題」は三つだ。
1.相手方のボールを(選手に渡さず)遠くに放る
2.相手方のスローインの邪魔な位置に立つ
3.フィールドに唾を吐く
◎なぜ削除されたのか
原文を読むとわかるが、記事は青森山田の監督の決勝戦中に画面に映った「行為」への問題提議。
むろん「なにをか言わんや」という恣意性も高い記事だが、これがYahooで炎上したわけです。
要するに「強さからの慢心があったのでは」という監督の性根そのものを指摘した旨ですね。
それらがけっこうあがっていた。日大アメフト部を連想するコメントも目についた。
しかしコメント欄には「監督」のみならず、青森山田の選手への書き込みも目立っていた。
ゆえに削除は、青少年の教育上の影響を鑑みた、という点があるだろうと感じます。
おそらくヤフーにクレームがあがったのだろう。
しかしこの取り下げの速さを看るに青森山田高校自体が掛け合ったのでしょう。しかしいかにもAERA的な切り口ではあるが、とりたてて削除するほどのものだろうか?とも思えます。(圧力、と考えると闇も見てしまいますがね。)
・・いいコメントもいっぱいあったのに、と思う。本当に。
むろんただのしょーもない書き込みも多いですが、色々考えさせられたのでこの記事につながります。
◎なぜ炎上したのか
なぜ炎上したのか。これは明白です。
「同じように感じた」人が多かったからです。
新たな要素として
4.決勝常連校で、1年間無敗記録更新中の
高校(青森山田)が負けた
というセンセーションも灯油となった。それも「マナーの悪さ」を見せつけた黒田剛指揮官への「弾劾」。ーー燃える要素は揃っていた。ひいては、
5.青森山田&指揮官の(これまでの)風評
6.高校スポーツのあるべき姿
などに派生し、コメント欄は爆発していました。
しかし切り分けないといけません。なぜなら、
・ただ記事を読んで反応してるだけの人 と
・選手権をリアルタイムで見て感じた人
ではコメントの質が違うからです。見て感じた人の方が圧倒的に意見のディテールが違う。で、
私もリアルタイムで見てた人
です。で、まさに同じようなことを感じたんだよね。私の感想を書きます。
◎私の感想 I
繰り返すがまずは指揮官の行為に対する「審議」要素は三つだ。
1.相手方のボールを(選手に渡さず)遠くに放る
2.相手方のスローインの邪魔な位置に立つ
3.フィールドに唾を吐く
さて。こう文字で書くとそれだけで判断しがちだが、実際TVを見てる我々(というかオレ)からすると、やはり思うことがでてくるんですよ。3は見落としているんだが、1と2はゲームの流れ上目撃している。で!
「え? これ、今邪魔してる?
今、この人スローイン邪魔してんの?」
と目を疑った。要するに、ドン引きですよ。
一言で言って、セコい。もっと言うと「この指揮官、ニンゲン小せえー!」と瞬時に感じた。
それまでサッカー好きとしてフラットに観戦していたが、この時を境に相手の山梨学院を応援しようと思ったもん。それくらい1と2、とくに2のスローイン時の佇まいには破壊力があった。で、
「気のせいかな、まさかな(と思いたい)」
とみんな感じて数日を過ごしていたところにこの記事が投下されたわけだ。
なので私は炎上のプロセスが当事者として理解できるわけです、笑。事実「記事にしてくれて嬉しい」「私も感じていた」というコメントがかなり上っていたこともお伝えする。
が、そこで終わらないのが人間の性根というもので、私も「セコい」「小せえ」と(本当は彼自身に)伝えたいように、この指揮官への批難が相次いだ。
人の色が変わるのはここからでしょう。その観察者・発言者の思想も色濃くなっていくからだ。
◎そもそもマナー違反か?問題
ここも考えたい。
つまり「勝ちにこだわって何が悪い?」というロジックです。大友康平似の黒田監督が示した1と2はすべてそれを物語っています。セコい・小せえと(私に)思われようが彼の採ったメッセージは一貫してこうだ、
「負けたくない」
もうここを捕捉する言葉すら要らないだろうが、そう考えて何が悪い?ということ。
選手権なのだから。勝敗を決するスポーツだから。で、大切な要素として高校サッカーはそんな歴史でいっぱいだよ?そうだけど、なにか?という現実も余裕で付け加えておく。
だからと言って彼の(ショボすぎる)行為を私は弁護しない。しかし往々にしてこういう問題では、
コールドにビジネスとして語るか
コールドに教育として語るか
に二分される。しかしお互いとも「コールド」である点も注意、なんですよ。
ホットな信念はその現場にしかないから。そしてそれは他人が観測する性質のものではないから。
「合う・合わない、好き・嫌い」はむろん遠巻きに誰しもが言える。本人たちも言える。が、この感慨が「ホット」かどうかは別問題に想う。事実、こうして記事は削除され日が過ぎれば青森山田がどうの、という具体性も人は忘れるだろうから。それはホットとは程遠いでしょう。
指導者(勝ち方を教える人)であるか
教育者(負け方も教える人)であるか。
この二項問題も今回に限らずよく取りざたされます。教育者に徹した場合、それもクリーンに「引き抜き」すら行わない場合、選手権には顔すら出せないだろうことも事実。
で、コメント欄にはその両思想の闘いが(今回も)あったことはお伝えしておきます。
◎強豪校の光と闇
コメントを追っていくと、青森山田自体への嫌疑を纏るコメントが多数あったことも付記しておく。
なかでも「サッカー部を辞め転校を申し出ると、圧力をかけられた」という(本当かどうかはわからんが)インサイダーなコメントもあったし「ここは学校の理事長が・・」というものも少なくなかった。
まさに「炎上」的な毀誉褒貶。
むろん全てを鵜呑みにはしないが、火の粉の無いところに煙はなんとやら、ということだ。
しかしここでも「ビジネス」と「教育」という二つの要素がもたげてくる。
強豪校にはそれだけのニーズがあることも確かだし、なによりまさに「今始まったことでもない」。
全国から集まり、100人規模で部員のいる強豪校はザラにあり、折を見てこうしてやり玉に挙げられる現象です。コントラストを強めたいから人は「山梨学院は聖だった」としたいところだろうが、本当のところはわからない。山梨学院も全国から選手を集める強豪校であり、彼らの中でも陰影は確実にあるからです。
そこでの「劣情」を私はどうしても考える。
100人中、20人しかベンチには入れないのだから。
しかしその残り80人超の部員高校生にも彼らの時間と想いがある。全ての人間に対して幸せは決して平等に訪れないが、そうであっても彼らが
ここの部員で良かった。成長できた。
と思えることが善いことのように思う。勝者は全校で一校のみ、それもほとんど全ての選手が敗者になるのだから。もっとも理想論だが「そう願わずにはいられない」とは言っておきたい。
◎私の感想 II
そんな意味で黒田指揮官の「行為」は当然ながら、最終的に私の感想を決定づけたのは、
PK戦後
だった。試合は二人PKを外し、全て決めた山梨学院が優勝するが、PKを外してしまった一人、
青森山田3年生の安斎くん
に私は注目してしまったよ。
なぜならしばらく、誰一人、
彼に寄り添う者がいなかったから。
彼はしばらく一人だった。
ここに全てを見た気がした、オレは。どれだけコールドなんだろうか、と。あるいは、どれだけサッカー以外を教わらずにきたのだろうか、と・・。
(てか指揮官、お前が抱えろよ!)
しばらくしてたまらず、2年生でエースの松木クリオくんが彼の元へ寄り、肩を抱いた。
当然だ。誰でもいいからもっと早くていい、と感じながら私はハラハラしながら見てたよ。
知らんさ、普段の彼らは。いい指導者にいい生徒さんたちなんでしょう。しかしこれが年間無敗を誇った青森山田が示した、大会最後の姿だった。
オレにとっては十分な印象だったよ。レギュラーたちでさえこうギクシャクしてんだから、控えにも入れない多くの部員たちがどう置かれているのか、如実にわかるような気がした。
いずれにせよPK戦後の指揮官黒田氏に全く印象がない。指揮官自ら「負けた後どう振る舞うべきか」教わりたいのではなかろうか。
安斎くんは大学サッカーに進むらしい。
どうかこれからもいい選手になってほしい。彼の笑顔がみたいものです。
2年生の松木君は日本代表らしい。その年代カテゴリーの。日本代表は抱えるものも大きい。その大きさを抱えられる人物にどうかなってほしい。
最後に。
これ、感慨深くて面白いですよ。
強豪校の練習「エグい自慢」。大久保選手の見解は「理不尽」に対する一つの示唆に富んでいる。
以上書き下ろし。ののち少し改稿しました。
それではごきげんよう
【普通にどっちも地獄】国見と鹿児島実業って実際どっちがキツかったの?