わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

映画祭という、想念の旅

新作の短篇制作に伴い、監督としてもプロデューサーとしても、映画祭出品に奔走しています。
映画祭の、出品代行業を生業にしている方もいる。
なので、自分の知識やリソースは極力伏せるが、独学でこの1ヶ月随分そっち方向をやりこみ、




すっかり映画祭博士




になってしまった。
ドクター・フィルムフェスティバルだ。笑。
当然のようにコンテスト貧乏もまっしぐらなんだが、世界のなんとなくの「」や「バランス」もやりこむと見えてくる。世界には実に様々な映画祭があるよ。とにかく一つ言えることは、




ビバ・グーグル翻訳!



ということ。
これは強く言っておきたい。私のようなリミテッドすぎる英語力を存分にカバーしてくれるグーグル翻訳はものすごい。敬意と利便性しかない。
グーグル先生の提案の大部分を頂き、先生の見解との相違は少し調整などして、タイムラグの許される文通であれば、なんとかなってしまう。今の時代、文通は世界中大丈夫なところにある。すごいことだ。

真の英語力を問われる「面会」。(と電話)
ここだけではないだろうか。

その即興性には相変わらず自信はないが、こうして1ヶ月英語に触れると、なにより「譲れんモノ」を中心にするからこそ、伝えようとする。これがなにより大事に想う。好きこそモノのなんとかだ。

だから英語でやりあったりもした(笑・メールでね)。プログラムディレクター(映画祭主催)の方と、わりとつっこんだ「立場の喧嘩」を・・。
そこは反省しかないが、どうにも言わんと気が済まないこともあり・・。でも、もはやそれって



日本語と一緒



な訳で、こういう所でも「アー臭ぇな!オレはよ!」と自分の人間くささにほとほと呆れる。
結局言葉は、器でありツールだ。
それを使う具であり脳味噌のオレは、オレでしかない。そんなことも改めて痛感する。(その後PD氏とは仲良くなった。笑)



◎LAとNY

映画祭博士として。
飽くまで全体像として、なんとなくの暫定的想念を伝えるのみだが、たとえば映画大国アメリカ。
むろん夥しいほど映画祭が存在するのだが、たとえば映画の都ハリウッド、ロス、LA。
このロスという横顔は、



割と(いや、結構)内向き



という印象をうける。
無理もないのだが、内需アメリカ全土)で全てが賄えてしまうLAのフェスティバルの多くがなんとなく「内向き」に感じ入るものがある。むろんLA Shorts などいくつかの魅惑的な国際大会には提出したが、全体の想念としてはそのようにも想うわけだ。(ゆえに、そんな意味でも「パラサイト旋風」は見事だった)
対して東海岸NYは、海外への国際的な門戸が「割と」開かれている。——そんな印象を受ける。

むろんいい意味で裏切られたい。大前提としてね。つまるところ要するに大会に通って、感覚をアップデートしたいんだーいが真意なんだけど。
それくらい世界の映画祭を見渡すと、様々な顔を感じて面白い、ということ。これが言いたい。
またHPは多くのステートメントを物語る。どんなにSNSが発達しても、HPはデジタルの顔だ。


また旅行者であったことは、フェスティバル選びにも大いに役立つ。つまり「どの地区で開催するか」という点で、文字や情報ではわかり得ない雰囲気を感じ取れるからだ。

幸運にもロンドンやNYは散策済み。
だから、開催地区のアドレスで雰囲気やグレードはある程度感じ取れる。これは地味だが大切なこと。
それは東京でも浅草と銀座と渋谷では違うように。そうして「色」や「バランス」感覚が養われる。


◎ヨーロッパ&エトセトラ

ヨーロッパもたいへん面白く、またラブ深い。
ここでもグラデーションがある。

たとえば、フランス。
フランスがね・・元気ないように想えた。もっとも私の無知の所為だとは想うが、パッと見渡す限り元気がないのです。というか、映画祭は多くあるんだが「クローズ」しまくりなんだわ。
ここにもお国柄が見える。時節柄無理もなく、これもフランスのイチ側面なのだと受け止めた。
イタリアもクローズがとても多い・・名画の数々を、フェリーニを、ヴィスコンティを、レオーネにモリコーネを生んだ国だがなかなかむずかしい。そもそも土地勘がなさすぎてアテを作れん!
以上、全ての映画祭に敬意を払いつつ、感慨す。



私は極私的に、映画祭「名」と「気になるアドレス」にアンテナを張り、想念の旅をしている。
気になり方は様々だ。
映画祭のグレードやクオリファイの時もあれば、歴史と風土、好きな作家、音楽、サッカー選手(!)など様々な因子で脳内で勝手に決める。笑。——そんな1ヶ月はやはり、どうであれ愉しいさ。


モスクワ・・もいいなぁ。ねえ?
ワルシャワ・・くー行ってみてえ・・
ソウルや台北・・ご近所さんはどうだろうか・・
テヘラン・・イランと自分はどう関われるだろう
ロンドン・・リベンジでしょ行くでしょ・・
NY?・・オレを誰だと想ってんだ?
ニューヨーカーだぞ、千葉在住の。
銭湯だろ? 入・浴・すんぞ?


など、頭をお花畑にして夢想するのも役得というものだ。映画祭とは自分とその土地との、ひとつの対話であり、想念の旅である。


◎世界三大映画祭

なお、世界三大映画祭。
ヴェネティアなんてね、普通に出せるものなんだわ。知らないでしょ?(通るかは全く別ね)
でもどうしてヴェネティア、カンヌ、ベルリンが三大映画祭と呼ばれているか。わかりますか?


彼らはワールドプレミアを要求するんだ。


ワールドプレミア。つまり世界初公開。
かれらのレギュレーションは世界初公開を要求する。それだけ厳しいということ。だからヴェネティア(9月上旬)のあと、大概の映画祭シーズンは開幕する。まさに芸術の秋としてね。
(先日、ヴェネチアの担当の方ともメールでやりあったよ。色々とエントリー周りでね)

それともちろんエントリーフィーは高い。
もっともクオリファイな映画祭は高い。(とくにアメリカはさすがに大国であり、どんな大会であれ高いものさ)



◎そして日本

さて。
そんな想念の世界エア旅行をすると肝心の日本についても考えざるを得ないのです。
大前提として全ての映画祭に敬意を払うし、通りたい。通って、多くの人に作品を届けたい。本当に。
これを大前提として以下想念を語るが、そうであっても、想うことも多いのだ。
フランスやイタリア同様、



残念ながら元気がない印象を禁じ得ない



それもコロナを原因にもたない。
まずもって「絶対数」がはるかに少ない。映画祭の数、これが本当に少ない・・。うーん。
それと「対外的に」と言ったらいいだろうか。日本は日本で極めて内向的な印象をうける。
無論「さっぽろ」や「ショートショーツ」など国際的で気を吐いている映画祭は確実にあります。
けれど世界的にこの1ヶ月見渡すと、日本という「色」や「バランス」もわかってきます。


たしかに概論さ。多くの差異を見落としています。
しかし「実際」、世界各国の映画祭情報に触れるとどうしても日本の「元気のなさ」も感じざるを得ないんだ。日本国内限定、というか、母国語オンリーの、なにか重いヴェールと一定不変のスタンスのようなものを。


◎そして私

もっとも映画祭とはローカルの持ち物だ。
——映画自体がそうであるように。

主催者の熱意や思想を映し、集まる作品によって「世界」を映しだすローカルの反射鏡に想う。また「ローカル」であるという事は同時にその風土・リテラシーをどうしても反映するものでもある。

ゆえに、映画祭は完全に「旅」だ。
国内の旅もいいし、海外の旅情も最高さ。
なんであれ想念だけでも世界中旅はできる。映画という言語、そのエモーションは国境を越える。

もっと言うと、映画はローカルを切り取る。
しかしテーマがローカルかどうかは別だ。

映画祭のプログラマーと(メールで)話すとわかることだが、彼らは完全にシネフィルだし、アーティストだよ。君や貴方が想っているよりずっとね。
世界各国人種の別を問わず、夥しい量の作品に触れるんだ。少し考えればわかること。
これは日本の「元気のなさ」とも対をなす。
ローカルを切り取りつつ、どれだけテーマが世界的かつ個人的だろうか? コマーシャリズムのみならず、どれだけのジャーナリズムを持っているだろうか?、という問いにもつながるだろうね。
もちろん映画の豊かさってそれだけではないけれども。


ともあれそんなわけで、作品をもって実際試している最中です。で、今年いっぱい続くでしょう。
もっとも映画祭、その想念の旅もむろんフリー(無料)ではない。当然だがテイクリスクの産物さ。
さあどうなるだろうね。が、そこはそれ。

で、その想念の旅についてのみ、
今回はすこしだけ語らせてもらった。


なにしろ久しぶりすぎて「え!まじで!?こんなサービスあんの!?」状態だからね。
センセーションがハンパないのです。
いい時代ですよ本当に。





______________



◎そしてそして私2


以下蛇足ながら。

東京の「大本命」は明らかに、別所哲也さんがリードディレクターの「ショートショーツ」です。私もこれを目掛けたいわけですが、なんと提出は秋の開始であり、おそらく開催が来年の春・・。

とある東京の映画祭に、5月デッドラインを踏み外し間に合わなかった身としては、東京がだいぶ後の話、なのです。これは言い訳ですが、本当に首を長く待ってくれたら幸いです。私も辛いのです。


え?
まだなにも決まってない?


そのとおり。
この記事の間、ずっとそのとおりです。笑。

本来書くべき事項ではない中、少しでも興味のある方に、状況を共有したくて書きました。
なので、蛇足もこれにて。

なお、ほとんど負けた場合?
カスりもしなかったら?



笑ってくれ。



あなたが笑えるならば、だけれど。
私は自分と自分の作品に誇りを持っています。あなたがあなたの仕事を好きであるようにね。
いい形で、貴方に届けられる日を願っています。
映画とは本来そういうもので、一年くらい待つモノなのよ?、とやせ我慢な軽口を添えつつ。

肉体を伴う今の私に必要な事はお金を稼ぐこと。
Absolutely Yes。このままではどこへも行けぬ!かっこつけてる場合じゃない。
ふんぎゃー ing now! では!!!





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