わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

機材トーク 2020春

本記事は出す間際、大林監督の訃報があり謹んだ。その後自分自身が企画に忙しくなり、3ヶ月弱寝た記事を本日アップす


4月初旬の記事です(もう7月だけど)
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暫くぶりのムービー機材トークです。
こんな時期、一旦リフレッシュして妄想記事です。米国NABが中止なのでエアーだけでも。ね。




ほしすぎる。


前回から全然なにも変えてない。
必要あらばレンタルで散らしてる。
まだ・・。妄想炸裂です。

妄想機材トーク。実機紹介は、ほとんどない。相変わらず玄人全開の「概念」の話をする。でも玄人なら痒い話さ。トピックを絞って。以下、発表。




◎4:2:2 と 4:2:0 の永遠の差
もはや2020年。巷のラインナップは「どれも素晴らしい」。これが敬意を払うべき、大前提
それ前提で話を進める。が、結局!



4:2:2 と 4:2:0 の差。



この点にムービーの画質は集約される。
不慣れな方々にこの数値が何か、を言うと「画像の圧縮率」。420より、422の方が失われる情報量が少なく、キレイです。そんな係数がこれです。が、
4:2:0 が、4:2:2 になるだけで機材の値段は「20万YEN」以上跳ね上がる(!)。
そんなタテに深いギョーカイなのです。


しかし「4:2:2」が出来なければ
どの機種買っても今の時代


ほとんど大差はない



と私は考える。
これはソニーを選ぼうがPanasonicにしようが、今の時代、ほとんど変わらない。
え、変わるって? 自意識程度にはな?(今は画質の技術的な大元の話をしているよ)
で、今「内部録画」で4:2:2できるDSLRは


Panasonic
S1H(フルセンサー)
GH5GH5s(ただしセンサーは4/3)

▼Blackmagic Design
Pocket Cinema Camera 4k6K

Canon
EOS 1DxIII


くらいのもの。
この認識はとても重要だ。


だから皆、他のどんな一眼カメラでも「4:2:0」の壁を何とか越えよう!とAtomos社のモニターレコーダーに走るのさ。
ビデオカメラにしたって「4:2:2」が内部録画できるムービーカムは百万コースなわけ(EVA1は健闘、7割程度だが)。とにかくそんなギョーカイなのだ。

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4 : 2 : 2 インターナル/フルセンサーを誇る、S1H。ただし御代60萬弱。

・・価格は飽くまで日本で買うと。
(海外の方がPanasonicの製品は断然安く盲点さ)



◎あとは選ぶ、考え方

あとは個人の考え方になってくる。
4:2:0で充分! 軽く安い方がいい! もっともこれが一般的な姿勢。で、こうであれば後は、センサーサイズとレンズに考えを集中すればいいわけだ。
安上がりに「やれること増やすぜ?」なら、そんな機材にアトモスのモニター積めばいい。

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モニター兼4:2:2録画、が売りのAtomos社のモニター


レンズだって良いものが多い。どのメーカーも。
FUJIにしろ、SIGMAにしろ、Canonにしろ・・。

しかし・・しかしだ・・!




◎音声に対する「愛」のなさ

以下が苛烈に強く言いたい、今日のメイン。


音声・録音に考えが及んでないメーカーの、
なんと多いことか!!



録音セクション。
この観点で言ってほとんどのメーカーが落第する。
ムービーなめんなよ?って感じ。
画だけ良けりゃいいって世界じゃない。
時代は2020年にもなってだ?
録音部門で「分かってる」のはわずか2社だけ。


SONY Panasonic
この2社だけなんだ


XLR端子、というファクター。
MiniXLR を採用した BMD 社を次点に挙げてもいいが、他はアウト。音に対しなんら「敬意」を感じない。相手は「写真」じゃない。ムービーだろが。

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SONY XLR-K3M。なんと第三世代の新商品。セパレートも可能。



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Panasonic DMW-XLR1。ソニーより高さは低いがマイクホルダーはない。



XLR端子。こいつを譲るプロはいない。
は? 録音は別録だし録音部がやってくれるもんね? で、編集さんがカチンコ合わすだけだもん?

そんな大名行列のことも言ってねぇ!

最後は逆ギレの冗談だが(笑)、今は《ワンストップの可能性》の話をしている。それに、そんな漫然とシステム任せな創り手なら、録音への造詣も全く感じない。そういうこと。

たとえば。
世の中にYouTube動画は数多ある。が、音が「お留守」な作り手の、なんと多いことか。
これは編集での「お留守」も含める。音のバランスがまるでなってない動画はかなり多い。
(どうすればいいか? 必要なら調べてね)
映像は「人・物・光・音」の総合芸術。音は、画と同様非常に重要だ。さあ話を戻す。


で、とにかく。カメラメーカーで
OK」が出せるのは
SONY Panasonic だけ・・。


これこそが情けないと想うね。
DSLRの《ムービー革命》があってもう12年だ。
12年も経って、未だこの2社だけしか【XLRアダプター】を出していない・・。
これこそが本当に「音」に理解のない証拠。
録音部さん、怒っていいよね? と想うわ。
他メーカーよ、肝に銘じなさい


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フルを越えるラージセンサーで爆・映像美なGFX100。値段も超絶。だが・・



◎結局ソニーORパナ、二択。

もったいないんだよ、一言で言って。
SIGMAが「fp」を出そうが、FUJIFILMが「GFX100」という大変野心的なカメラを出そうと、


「なんでXLRアダプターを開発しない?」


ってとこで「止まる」から。そこで私のような検討者(?・・いや、巡回者)は去ってゆく。
もっともウラ事情は知らない。
大手2社がもつXLRアダプターは「インテリジェント・シュー」の技術を基にしている。
他社が本来「音の重要性」を認めながらも、

このパテントに手を出せない

のだとしたら? それはそれで大問題だ。(もしそうなら業界の方、こっそり私に教えてほしい)
が、オレの見立てじゃその「意識と姿勢」すら足りてないと考える。なので、続ける——。

ムービー機能がある限り音声入力はマストでセットだろ、なぜここを発展させようとしない?
まさか・・「ミニプラグで充分っしょ」?


ーー甘すぎる。信頼性と拡張性が全く違う。


内蔵マイクの改良も言ってない。今の内蔵マイクはもう充分すぎる程の性能だ。そうではない!
遠くの音をどうクリアにキャッチするかだ。現場に対する「想定」を問う。それにだ。
録音系統は映像信号よりはるかに単純な電気回路で済むはずだ。なぜそこにリソースを割かない?
つまり彼らの音に対する「軽視」「現場への視力不足」がよろしくない、と言っている。結局ーー


SONY Panasonic 。この二択となる。


冒頭で「どれも素晴らしい。敬意を払う」と書きました。でも、それには続きがあるんだよ。
「ただし画質に関しては」——ね。
録音セクションに「お留守」ではない企業。それは結局、動画撮影を知り抜く2社だけなのです。

他のメーカーも頑張ってほしい。
(特許問題であってもなんとかしてくれ、だ)




◎追記、リグ研究家として

さて。おしまいのまえに・・


あー。ほし・・


ほしすぎてお花畑で花々の匂いを嗅ぐ私・・もう最近(※注:プロジェクト前)は RIG ばかり見ている。


SmallRig
? TILTA

ふふふ。 いや。最近はこれがカッコいいのよ。

今年新規のメーカー「Fathom」!

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知らないだろ? FathomのCage!ロゴがナイス。




今日は「4:2:2」と「音声プンスカ」で終始したけど、とてもとても大事なトピックでした。
分かるヒトははげしく頷いてくれるはず。

むろん。ただの「現実逃避」エントリー。
機材トークはこういう感じだよね、いつも。
ちなみに。
コロナで3つプロジェクト飛んだ! 金はない!
ごきげんよう






▼一昨年秋のこのシリーズ
この頃はパナが大ナタを振るう前でした。で、F値のカラクリとレンズについて吠えてます。

loki.hatenablog.com



◎追記の追記

以上をもってあげる間際、大林監督が天国に召された。むろん私にも思い出があり「金田一耕助の冒険」も観てなかったのでその後改めて鑑賞した。


機材なんか語るな。
天国からお叱りをうけるに違いない。


ただ私のステートメントも変わっていない。
ガジェットがなんだろうが「手前の作品見せてみろ」が通底にある。
機材の話は愉しい。楽しすぎるがしかし、結局の要はそれをもって「なにを描くか」だ。