夏至に至るまでの数週間。
この時期もまた、好きだ。
夏至という、日本最強の日、
その頂きにむかうこの数週間は、
なんとも言えず、いい。
気候が安定しないところも憎くていい。
太陽のもっとも長く居座る日。夏至。
実はこの、一年最強のピーク、
これを迎えるのはまた、嫌なことでもあるんだ。
ああ、嫌だ・・。
だって、夏至が過ぎたら、
あとはもう下降線なんだぜ?
太陽は一目盛りずつ、退いてゆく。
ああ、嫌だ。
嫌すぎる。
ピークを越えるのが嫌すぎる。
この、
「夏至に至るまでの数週間」が
永遠に続けばいい、と毎年のように想う。
じっさい、
北欧のヒトビトも同様に考えるらしい。
彼らの夏至と冬至は本当に極端だ。
だから夏至をこえると、
鬱になるひとが急増するんだってさ。本当の話。
それを知る彼らは夏至のお祭りもまた盛んだ。
飲めや喰えやとその哀しさをいっとき忘れるんだ。
そうか
今年は「ミッドサマー」という映画も公開していた
観ていないがどうなんだろう。
その昔、
深夜ドラマで岩井俊二が「夏至物語」を撮った。
たしか「オムレツ」の前、91年位の作品だ
そこには実は海砂利水魚の上田がでていた。
このことを想いだすヒトももう少ないのだろう。
別に、日本に区切らずとも
「北半球」ならほぼ、同日に夏至を迎える。
その意味で、じつに国際的な日でもある。
アステカ、神々の都テオティワカンは
ピラミッドに向かって一直線に日が落ちる。
チチェン・イッツァでは蛇が影をおとし
ストーンヘンジでは
昇る日がヒールストーンと祭壇を結ぶ。
日本ではいわゆる「レイライン」、
太陽の通る軌道とともに
鹿島神宮から高千穂を結ぶ一筋の線で
古代の人々は夏至を祝った。
南極はその逆で、なんと
1ミリも太陽を拝めない日、となる。
・・・・・・
もっとも太陽の下にあり、
同時にサウダージを感じる、夏至。
今年は(例年通り)、6月21日に迎える。
ああ、嫌だ。
今日くらいがずっと続いてくれ。