わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

令和の時代

令和 か。


官房長官が額を掲げた瞬間、ホッとしたのと意外だ、という第一印象をもった。
意外という感慨はラ行か、ということ。それも「令」。うおおお・・と。ホッとしたのは、前エントリーで言及したことなので割愛する。
そして私の中では第二印象こそが強く残った。
それは、




なんて美しい歌だ




という、引用された出典への感想だった。
正直、唸ったよ。
とても美しい。出典・万葉集のこの歌が綺麗で。



初春の令月にして

気淑(よ)く風和らぎ


梅は鏡前の粉を披(ひら)き


蘭は珮後(はいご)の香を薫らす


作者不明



今まで中国古典の「漢詩」から引用されていた元号だったが「万葉集」というこの国最古の歌集(国書でもある)から引用されていた。その意外性と感慨もあるが、その「どこ」が出典かという思想云々はともするとギロンの的になりそうなところを、私個人としては、この元号はそんな外堀のあーだこーだを見事に晴らしてもいる。と考える。

それくらい美しい歌を引用している、と感じた。
またラ行からはいる斬新さ。しかも「令」という字の「本来」の「再認識」も含まれている。
——この考案者は只者ではない、と感じた。
(もっとも平成を考案した安岡正篤と山本達郎も只者ではないのだけれど)


きっとこの考案者自身、万葉集が好きなのだろう。その上でこの一篇が好きなのだと私も思う。
しかしもっと大切な事は、そのうえで、人の好き嫌いを「超えて」「選び抜いた」。その印象がある、ということ。これができるかどうかが、叡智知性なんだわ。はっきり言って、おどろくほどすんなり理解した。
発表ののちに安倍首相が会見で「国民の理解と協力をお願いしたい」と言っていたが、




「理解した」



ということ。どう協力していいのかはわからないけれど(笑)。



また、舌をまくのが、
きっとこのあと「万葉集」が大衆のブームになること、についてだ。そういう文化へのタフな柔軟さがこの国にはあるんだよな、という感慨を、ブームがまだ始まってもいないのに(?)宣言しておく。万葉集は何度もブームになるが、今回もまた、読むヒトをハッとさせつづけることだろう。そういう精神性は全くもってステキだと感じる。貴族のみならず、防人、農民の歌もある。



梅はきょうぜんのこをひらき、・・だ。

美しいねぇ・・・

蘭ははいごのこうをかおらす・・

うつくしすぎる。結びが完全にキマっている


梅にちなんだ漢詩で、
私の大好きなことばがある。耐雪梅花麗




雪に耐えて 梅花麗し




雪に耐え花開くような時代になるといいね

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