わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

2017夏カルトコレクション

夏なので、簡単な報告。
不感症ぎみの映画好きはすぐカルトに帰る。的なお話。

最近買ったDVDがこれらなのです。

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じゃーん! 左より
江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間」(1969)
「恐怖劇場・アンバランス 第一集」(1973)
「TESTAMENT」(1983)

ね? マニアックでしょ? というか不感症っぽいでしょ?笑
恐怖奇形人間は「カルトのキング・オブ・キングス」みたいな作品で超有名作だが、アンバランスとTESTAMENTのほうはどうだい? テスタメント。そう。この前ブログで書いたところ無性に観たくなり、たまらず、eBayでアメリカから取り寄せたってわけさ。

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なんでこの記事書こうと思ったかって言うと

ついに待望の、DVDの正規版が東映から出る!って知ったからなんだ。
だーふざけんなぁー!つい最近、逆輸入盤買っちまったじゃねえか!と言うことが言いたいのだ。
シナプスって会社から出てる輸入版は有名で前々から欲しかったのだが、最近の極私的カルト復興熱もあり取り寄せた。……んだが、まさか買ってすぐ正規版が出るとは思わなかった。新製品の発表の前日に旧製品を買う、やっちゃった客、ってかんじ。
(それに見事に流行のアルゴリズムに引っかかってそうで、それはそれで、ヤダね。笑)

作品についてとくに自分が言うことはない。
吉田輝雄のあの、バタ臭いお顔と演技。土方巽の快演。そして何より物語のセオリーをぶん殴ったような展開に衝撃のラストが待っている。そのどれもが快作に相応しくラストの純度はとにかく高すぎる。
鑑賞してない? もったいない! あとねセオリー好きほどこういうの嫌うがこれも映画だっつーの。
断言する、これもまさにシャシンですよ? アタマの固い人々よ!


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恐怖劇場・アンバランス(1973)、第一集。
円谷プロのオムニバス劇場。円谷では「ウルトラQ」を思い出してくれてよく、ジャンルは今で言うと、世にも奇妙な物語。である。オカルトホラーのオーソリティー。
それに制作はフジテレビ。 まさに世にも奇妙の遺伝子と言っていい(?)って言い過ぎか。

実は全集も出ているのだが、出たてのころ(10年ほど前)レンタルでひと通り見て第一集以外ぜんぜんつまらんので、全集を購入する必要はなかった。が、油断していたらいつの間にかDVDは絶版になり(←あるある)、このほど中古を取り寄せたってわけさ。
少し下記ブログでも触れているが、「木乃伊の恋」が購入の大本命の動機だ。


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なぜなら鈴木清順監督作「木乃伊の恋」。
これが彼の隠れた傑作中の傑作だからだ。まさに清順の作家性がほとばしっている希有な作品である。
作家性ってよく聞く言葉だが、出し切ることはとても難しい。清順の大正三部作でさえ「夢二」ではもう作家性は奥まっているし、正直つまらない。その後、彼らしさを出せた作品などない。「殺しの烙印」であれ出し切ってないし、とにかく清順という狂人の才能が引き出された瞬間はきわめてレアものなのだ。目撃した限りでは「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」そしてこの「木乃伊の恋」なのである。(次点としてはいっぱいある。とくに「春婦伝」「河内カルメン」「野獣の青春」は大層シビれる)

プロの俳優にない味を脚本家・大和屋竺が披露しているのだが(これがホント必見)、この系譜はツィゴイネルワイゼン藤田敏八の起用にも結びつく。ストーリーテリングイルさ・ドープネス含め、この中編ドラマがもつ破壊力は満点。主演の渡辺美佐子浜村純けんかえれじいのアヒル先生)の強烈な執念もムーディー。これがシリーズ第一話なんだから、無理だよ。打ち切りだよ、ってかんじ。笑

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ともかく鈴木清順愛する人は100%マストの名品だ。また、第二話の「死を予告する女」も好篇。へんな怖い話よりぜんぜん怖いからね。監督は藤田敏八。俳優時代の蜷川幸雄もおがめるよ。


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テスタメント
輸入版で「TESTAMENT」だ。日本未DVD化。しかし本国アメリカではワーナーのアーカイブコレクションの一篇である。助演(実質主演)のジェーン・アレクサンダーはその年のアカデミーにもオスカーノミネートされている。そんな作品だ。この作品への偏愛は最近のこのブログでおさえてくれ。笑

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私のリミテッドすぎるリスニングでも英語字幕もあり話はわかるもの。
で、その時ぶり、下手すると、いや、へたせずとも30年ぶりにこの映画に触れたのだった……。核の放射能に関してのアメリカ人の知識不足や妙な大らかさはこの作品でもひどく全開なのだが、あらためて、30年ぶりに観ても、この作品の持つ「諦観」っぷり・特有の暗さはとても印象に残るのだった。
とくにラストの感慨は今だからわかる、というか、オトナになるととても味わい深い。

またオトナになったなぁと思うのは、そうか、アメリカンプレイハウスものなんだなってわかること。クレジットにそうあるわけだが、TVの一篇である。TVムービーで、この番組はPBSの制作。
どうりで左派っぽい作りなんだな……って妙に納得した。それに役者の布陣も、それこそメソッド系プレイハウスが大挙したようだ、と今みるとわかるのだ。それだけ「リアル」追求の演技。だからこそ、暗く、言い得ぬ諦観を幼少時に感じたんだなぁと思ったのだった。

なるほどなー……なんて。 やだね、オトナって。

この作品はジェーン・アレクサンダーほか、駆け出しのケビン・コスナーも出てるよ。子役にルーカス・ハースもいる。スペシャルフィーチャーで「その後の再会ドキュメンタリー」が特典されているのだが、これが結構感動モノ。知られざるその後がある。



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以上、3作品。2017夏のカルトコレクションでした。
しかし、「テスタメント」との再会で新たな、一つの問題が出てしまった。
どうやらオレの脳内トラウマ劇場はもう一つ、ちがう映画を混在させている、とわかったからだ……。

終末映画でビートルズのレット・イット・ビーがかかる映画があるはずだ……

それはなんだったんだろう……ということだ。
トラウマを追うミステリーはなおも、つづく。