わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

Jリーグを考える 2015春

先日、サッカーバーの店主と深く面白い話になった。とくにJリーグを全方位から考えていたら、気付けば3時ですよ。そこで様々なギロンが出たが、オレが今とくに思うのは、日本の

鎖国気質

だ。
で、それについてどう書けばいいだろう?・・なんて思ってたところ、昨日、まさにそんな片鱗を感じるニュースマリノス外資系買収のうわさ)も飛び込んできた。
まとまるかわからんけれど、自分が整理したく、メモ+として残す。Jリーグ開幕記念です!

 
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☝ 私が愛したサッカー(笑)
 
 

◎おさらい:スタジアムはだれのもの?

まず。「Jリーグとは何か?」と一旦考える。
乱暴にひとくくりに言うと、


 「企業対抗リーグ(日本サッカーリーグ)が前身の、行政持ちの競技場で行われるプロリーグ」


だ。オレは暫定的にそう定義する。
(注:鳥栖と松本の「ルネッサンス」は置きます)

で、この感慨は、創立から20年で余り変わっていない。Jリーグに所属する全チームのHPを見たらいい。彼らが「ホーム」とするスタジアムはほとんど、県営か市営、公財だ。
すこしスタジアムの話をしてみよう。
 
 
「ほとんど」の外に2チームのみが存在している。
柏レイソル(日立)とジュビロ磐田ヤマハ)だ。

彼らは自前クラブ所有の専用スタジアムをもっている。これは、まさに前身時代の不動産が幸運にも残っているカタチと言える(収容人数や屋根の有無は、置いておこう)。
また公営から委譲したカタチで自社管理しているのが、モンテディオ山形アルビレックス新潟

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しかしそれらの実体は今のところガチガチの総合競技場であり、サッカー専用STでは、まだない。
それと清水(IAI)や名古屋(豊田)は他企業(ほぼ銀行系)の専用スタジアムを「借りている」。
スタジアム経営という視点から見て、ここにも


神経戦とジレンマ


がある。
行政としたら「レンタル」でキャッシュフローがある。
いいぞ。小さな頃から支えているんだからな?
それに父さんはな、こんなステキな専用スタジアムをおまえのために作ったのだ。
みてごらん息子よ・・・
 
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一方Jクラブとしたら、その「賃貸」から解放されればデカい「オトナになれる」。チケット代はおろか露店のやきそばもグッズもなにもかも根こそぎ収入だ、


・・独立するぜ、ファーザー


しかしその「独立」には膨大な資金。なにより土地がいる。今までの入り組んだ「恩」もありそうだ。むろん、試合のない日も維持しなければなるまい。

どうだぁ? 息子よ・・ハハハ・・・
 
 
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そこにおいて、ガンバ大阪サンフレッチェ広島の鼻息が、荒い。
ガンバは今年の秋にクラブ所有専用スタジアムを完成させる。まさにJリーグ初まって以来の快挙。
それ以前から公募を募っているのが、広島。
しかし見通しは立っていないらしい。その辺りのことが、この記事 に詳しく載っている。

ガンバが「快挙」を成し遂げる背景には市民からの募金のみならず、企業の威光が当然ある。
140億を募金で賄うなんてインポッシブル。そこには強い「行政にも強い」親会社(言っちゃうぞ、Panasonic)の理解と強烈な支えが要るわけだ。
 
 
さて。まずはサッカーをおこなう、スタジアムの話をおさらいしました。
こんな外周の外周が、ピッチの外を囲んでいるわけだ。
 
 
◎おさらい:オーナーズテンションの極

ここで行政には一旦さようなら。
(良縁であれなんであれね。)

スタジアム収益には不動産の問題があり行政が絡むが、Jクラブを悩ますのはそこだけじゃない。
次に、出資会社のテンションについて考えたい。
まだまだピッチにいけない。大切なビジネスの温度の話!


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「クラブ経営。チミさ、それ儲かると思ってる?」
 
 
 
こんな質問こそ、Jリーグのイチ側面を集約しているとオレは思う。そんなこと、経営している社長に面と向かって言われたら?と想像してみよう。

レッズの収入が58億円で、マリノスが43億円。
J1で最下位が、昇格松本の9億円(参考)。
この数字が選手監督スタッフの年俸やら、それこそスタジアムレンタルやら全てのベースとなる。
で、この数字をどう見るか、だが
 
 
 
 
もうかってないっす、社長!
 
 
 
これが「たいてい」のチームの想念だ。抜きん出てるレッズは別だが。(2013年度経営報告はJ1J2の40クラブ中12クラブが、2期連続で赤字

でなければ2ステージ制にもしないだろう。
それにACLでは最強で、華麗にもクラブワールドカップに優勝などは・・・(以下略)
 
サッカーファンであればいくらだって今のJ全体が弱含んでいるか、その諸事を出せると思う。
で、大事なのはその現状を、オーナー企業の視点から考えてみることだ。とくに中小クラブの。
儲かってない中、なぜ出資するのか? ということ。
 
 ① 「ひとこと。続いてるからね。
 パイはそこまでかわらんし、
ボランティアみたいなもんよ?」

② 「コンテンツが魅力的(収益面で)ならいいけどさ?
 
ホント感謝してほしいくらいだ」

③ 「いやぁクラブの社長っつったってね?
 
サッカー知りませんよアタシ、天下りだもん・・・ホホホ」
①〜③ とも、ネガに想定してみた。

が、それもこれも 「もうかってない」 ことに起因するわけだ。「もうかって」 「魅力的なコンテンツ」 であれば、 ①② は余裕でクリアするだろう。
なにより、 ③ の人材面こそが充実する。
 
なぜならビジネスに「うまみ」を感じないからこそ、親会社は天下る人材に「キレ者」をよこさないわけだ。窓ぎわのヒトに「おまえ行ってこい」かもしれない。(今極端に書いてますあしからず)
 

一方でサッカーがしたい、好きで好きでたまらない、現場側を想う
現場は、情熱あふれる人材に事欠かない。この点もいくらだって事例をだせるだろう。が、要は
 
 
 
この温度差こそが今のJリーグをつつんでいる
 
 
 
とザックリ捉える。
むろん細部を言ってなく、計算のたつチームは出資側の意識も高いはずだ。それにスポンサーの「努力と理念」なくして、ガンバ大阪の新スタジアム設立もない。
しかし思い出してほしい。
そんなガンバも内紛でJ2に堕ち、で、上がったと思ったら3冠達成だ・・。
それくらいJリーグは安定していない
そのトラブルの多くがスポンサー/フロントと現場サイドの摩擦・ズレに依っている。

 
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いっぽう「優勝候補」はJ2へ
 

アタマで「Jリーグは企業対抗リーグが前身」と書いたが、オーナーは企業だ。
つまり法人は厳密に「人」ではなく、異動など遷りやすい。思想と人材は一定しない。この前身の社会人リーグのDNAは良きにつれ、悪しきにつれ、存在している。個人オーナーとは性格が違う
 
悪しき、に東京ヴェルディのようにDNAが途切れたら見るも無残になる、ということを挙げたい。だからこそ現場側が「卑屈」にならざるをえないチームもありそうだと言える。(特にJ2)

「このお荷物がぁ」

 状態に耐えつつ、それでも志とサポーターがあり現場も経営も、ふんばってはいないだろうか?
(いっときタイリーグへ日本人選手が流れたが、理由は単純に、高給と「やりがい」だった)


やはり、この問いかけは必要だ。
現場側は「お金はほしいが、現場に口を挟まないでくれ」と言えるほど、


魅力的であるか?


出資側も「まじで余力はない」かもしれないが、出資のむこうに


「知性」はあるか?


が問われている。つまり経営側は、クオーター短観ではなく来たるべき未来(後述)を、理解できる知性を持っているかどうかだ。
と大構えすると以下の声がしてくる。

④ 「なにを言ってるんだ? 地域の発展こそが文化だ。
 
投資できることを誇りに思う」

⑤ 「町おこしに正直、我々は関心がない。
 
このサッカーに興奮するから、一枚かむのさ」

 

いわゆるシェアリング精神だ。第3の声。
④ は、まさにサガン鳥栖松本山雅といった前身のないフレッシュなニューウェーブをさすだろう。
ホント、サッカーは社会の合わせ鏡だと思う。(⑤の下の句はオレねw。だが終章に関係する)
 
 
 

◎Jリーグという日本語。開国、攘夷?

まだまだピッチにいけない。
し、書きたいとこまでもいってない。笑。
マリノス買収? という冒頭の記事側のことを書きたいのだ。


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外資(日本法人)の参入。Jリーグは日本「村」から飛び立つか?
 
Jリーグは日本の他業界同様、スポンサーの規制が存在していた。が近年、日本に法人を持つ限りは参入OKと、ガイドラインを変更したのだった。

このゲームチェンジはとても興味深い。

日本「村」だから弱含んでいるのかもしれず、日本村だから怯えていた「現場」もあるはずだ。
外資の波に出資側も正座に戻るかもしれない。急に笑顔で、聞き訳がよくなるかもしれない。笑。それにね、そうやってクロフネが到来しないと、

今までの幸せがわからんの?
強くなれんの?

ということを、なにより一番書きたいんだ。
 
 
 
 
つまり今までのトピック全てが「日本語」だということ
 
 
 
 
Jリーグの成分分析をしてみてもフロントと現場のエトセトラを語ってみても、全て日本語である。
そんなん知らん、とACLに目を向けると、アジアのなかの序列は落ちる一方ではなかったか。
つまるところ現状J代表は弱いのだ。当然ながらサッカーは世界的尺度で測られる。


20150224-OHT1I50008-S.jpg  三冠王0勝2敗


アジア最強、を目指すことはJリーグのこれからの基本方針にまちがいない。
でないと、つぶれる。
という見立ての上に立つ、J協会の危機感はハンパないはずだ。具体的には東南アジアにJリーグの「ファン」を増やし、放映権の復活を協会は目論んでいるだろう。しかしそれは同時に、魅力的なコンテンツにしてゆく、ということに他ならない。で、そんなコンテンツとは一体なんだ? でしかない。

魅力的なものに、外資の動きは早いよ。
さあ、どうなると思うよ?というところに注目したい。

むろん急な話じゃない。
しかしいつの日か父と子は「精霊の御名」(←外資)においてふっとぶかもしれないさ。


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あるいはそんな外資の到来に甘んじるくらいなら


「サッカー弱くたっていい!」だって?
それより「Japanese Only」でいきたいって!?


ここにおいて、
ようやく冒頭の鎖国」感に辿り着くわけ!


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Q.サポーターのみなさん。
「あなたは応援するチームが 【もうかる】 ことをよく思いますか?」

Q.もっと言います。
「強くなってほしいけど 【儲からないで】 と考える事ありますか?」
 
 
 
上記の命題こそ、語るべき問いだ。
この問いは、鳥栖や松本といった今は一枚岩なチームにも、いつかやってくる問いだろう。そして当然だが、この命題はクラブ経営の問いと、対をなす

見る人がそれぞれ(暫定でも)。
自分の考えを用意しておくべきものだ、とオレは感じる。



また整理して、いつかパート2を。ね。
今年もJリーグ開幕ですっ!


つーか、ACLも見ようぜ! みんな!
開国派も攘夷派もACLで今を知るべきだ。

スタジアムを所有する柏がJ4チーム中暫定トップ。
それは伝統的に独立心を知っているから、かな。
独立心は「決定力」を養うだろう。

 
IP150216KYD000216000_0000_C.jpg 1勝1分、柏はクールだ
 



とても長くなりました
ここまで読んでくれてどうもありがとう