読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

ゲオでフィルムノワール祭

感想・評論
グチ・オブ・レンタルマインド
 
TSUTAYA利用者、ツタヤーだったボクが、はじめてゲオ会員となった。
店に入ると「GEOってこんなに安いんだ……!」と思わず興奮してしまったのだ。
 
しかしながら、TSUTAYAでも郊外店舗の品揃えに感心したためしはなく、ゲオも、また、そんなでした。旧作しばりで探すと、結局クラシックORリファレンス作品を手にとってしまうのが、なんとも哀しい。
いくら安くても「ナントカ2013」とか「カントカ4ー覚醒ー」みたいな。
そんなパチモン臭にはどうしても、どうしても、手が伸びないのはどうしてなんだろう? と思う。 ブックオフやCDの投げ売りでもいつも思うが、どんな創造物でも100円の価値ってあるはずだ。
あるはずなんだよ! と思うのに、見事にスルーしてしまう。 ジャケット見て萎える。これはどうしてだ? 何となく匂った作品を勇気だして借りてみると見事にビデオな映像で緊張感のない演出がはじまったり。それに今の時代、よくできた作品ってほっといても評判が自然と耳に届いたりもする……。
 
 
うーむ。とアタマを曇らせながら、7イレブンの100円珈琲を飲み干す、と。
 
 
結局初ゲオ。洋画は初見70'sクラシック「コンドル」、何回見てるかわからない「エクソシスト」を借りる。
2作とも、あっという間。あっという間の2時間だ。
ハッキリ言って最近作であっという間ってあまりない。
そして、この3作である。 あっという間の日本製フィルムノワール

 

 

youthofthebeast1.jpg
野獣の青春
〔1964日活・92分 監督/鈴木清順 脚本/池田一朗山崎忠昭 撮影/永塚一栄
 出演/ 宍戸錠 渡辺美佐子 小林昭二 川地民夫 金子信雄 木島一郎 〕
 
高田馬場ACTミニシアターで鈴木清順のオールナイト、4日ほど連続で通いつめたのがひどく懐かしい。
そのとき、半分以上落ちながら漂った記憶が「野獣の青春」と「殺しの烙印」だった。
 
だからかなり、というかほとんど飛んでいる。 観た、っつー心細い追憶しかない。
それでも、黄砂の中イカレ野郎が女をむち打って、その後ブチューとキスすることは断片で憶えていた。 それが、小林昭二だったことが、今回判明した。笑 イッちゃってんなぁ・・・(誉めてる)。
 
youthofthebeast3.jpg
 
当然、筋もトンでるから、良く出来たハナシだ、などと斜に構えながらすっかりハラハラドキドキ。いやー。愉しい…。 宍戸錠の良さをはじめて感じたのは、たぶん自分がオトナになったからなのだろう。
あの頃はなんとも思わなかった。 鈴木清順についてはいつかちゃんと触れたい。
清順作では恐怖劇場アンバランス「木乃伊の恋」がレアなうえ、本当にキテる。 この機会に推したい。
 
miiranokoi.jpg
 
 
 
coltismaypassport.jpg
 
拳銃(コルト)は俺のパスポート
〔1967日活・84分 監督/野村孝 脚本/山田信夫・永原秀一
 出演/ 宍戸錠 小林千登勢 ジェリー藤尾 嵐寛寿郎 〕
 
初めて見た。
ちなみに2012年に初めてDVD化されたそうだ。(日活百周年の一環らしい。)
これはマンガか? というくらい、おそろしく分かりやすい映画だった。
これほど画と科白だけの同タイムで筋を追える映画って、実はめずらしいと思う。それくらいわかりやすい。 そのぶん素直な出で立ちの正統ハードボイルドでこ・れ・が、傑作だった。
宍戸錠がまたイイんだが、この映画は、とにかく小林千登勢に尽きる。 それはもう、超・激マブだ。ボクにとっては日曜夜のクイズ「ヒントでピント」の副キャプテンでしかなかったが、考えを改めた。小林千登勢はこの作品を残しただけでも充分だと言い切れるくらいだ。(だから「ヒントでピント」は……)
下町のマブさ。 だるま船。ジェリー藤尾のギター。埋め立て地。 ダイナマイト。
 
Chitose.jpg
a-colt-is-my-passport-2.jpg
 
OK。 なにがフィルムノワールまつりだよ、ただ「日活まつり」じゃねえかぃ!
2作とも、100周年の再プレス。 それを借りただけじゃん?
しかしそのくせ「殺しの烙印」がない、っつーところに、ゲオのなってなさ、ゆるさがあるわけです。(まあTSUTAYADISCASで掘るしかないんだけどね・・・) さて、ラストがーーー、これ。
 
 
ある殺し屋.jpg
 
ある殺し屋
〔1967大映・82分 監督/森一生 脚本/増村保造石松愛弘 撮影/宮川一夫
 
大映から67年作品。
ライ様ぁー!という声(悲鳴)が聞こえてきそうだ。 彼が亡くなるわずか2年前の82分の現代劇。共演は、野川由美子成田三樹夫。 あと小池朝雄ね。(←ノワール上、この人の含有率は高い)野川由美子は「ビッチ」を演らせると他の追随を許さない……。 この役もたくましすぎて、引くよ?
 
arukorosiya_nogawa.jpg
 
そして、この映画は成田三樹夫の映画だと思った。 ライ様を喰ってはいないが、これは彼の映画だ。 ラストの味わいはほとんどコメディ。 いや完全にコメディだ。
成田三樹夫節がフレッシュに炸裂する。 2枚目ダークヒーロー×ビッチ×成田三樹夫
うん。 これもノワールの、ひとつの味わいである。
撮影は宮川一夫。 スリラーの大味さをカバーするような端正な画角とライティング。
元・特攻隊員、という背景をもつ殺し屋、市川雷蔵の冷たくニヒルな魅力。
その前には野川由美子成田三樹夫が仕掛ける挑戦も「若い」のだろう。借りた偶然だが、「拳銃(コルト)〜」と「ある殺し屋」は原作者が同じ、藤原審爾だった。
 
arukorosiya_narita.jpg
 
 
 
というわけで、初ゲオラインナップでした。
奇しくもノワール祭となったわけだが、思うのは「これ位の尺がちょうどいいってまじで」ってこと。 80分から90分くらい。 プログラムピクチャーと言えばそれまで? いや。 ちがう。
 
むだに薄めて120分、とか見てらんない。
だから「カントカ4ー覚醒ー」とかはダメなのよ。まったく。
 
 
ところで最近知って感心したのが「Wowow映画塾」。町山氏の映画解説はたぶん現評論家で随一だろう。
 

 
たとえば和製フィルムノワール系譜ルパン三世1stに流れ込む解説、さらに世界リンク具合が見事。 とてもわかりやすく、かつ、なによりスリリングだ。
他の回の動画もスペックと発見が必ずあり、ラジオ状態にして聞いても楽しい。