わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

ホーリーモーターズ鑑賞

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「ミニシアター」はとても久しぶりだった。新宿シネマカリテ。
去年12月に出来た新しい映画館。トイレがウォシュレット。
なにより、なつかしい人々と一緒に映画を観た。あー、そうなんだよ、このかんじこの感じ! その印象が一番かもしれない。

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レオス・カラックスホーリー・モーターズ」。フランス人も好きだろうサッカーで例えるなら、これは試合結果4—3で「負ける」映画だった。
インターミッションまでを前半戦とするならば、ここまでに0ー3で試合を折り返す。3失点だ。
ゆえに、ハーフタイムショーも冷ややかに眺めることとなる。


ど う す っ か な ・ ・ ・


で、後半も序盤早々に失点。0ー4だ。ここでボクの席の前のヒトは退場していった。
無理もない。ボクも、両隣の客もきっと、自分自身と闘っていたはずだ。
サポーターツラし、だろう。ボク自身あと少しでスタジアムをあとにするキワキワマインドだったが、ここでカラックスは得点する。

それもミシェル・ピコリのダイレクトボレースーパーゴール! 1ー4。
ピッチは一気にカラックスペースとなる!

パリ・カラックス・モーターズの反撃がはじまる!
ドニラバン上げた! またも大きく吹かすカラックス!
カイリー経由のぉ、猿、ゴォール!! エディットスコブ、仮面か、ゴーーール!!
ピッ、ピッ、ピィーーー! ウェーイ・・・

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前半あっけなく取られすぎたのが悔やまれるこの試合。 ——いや、映画。
しかしこの映画はあらかじめ「負ける」ことになっている。それはカラックスがずっとそうしてきたように。
カラックスはずっと「負ける」なかに瞬間の閃光と映画らしさを魅せてきた。で、13年ぶりに負けてみせた。この人ホント、ナルシスト。 そうとしか言えない。他者(男)は数人でよく、ミューズがいればいい。しかし映画とは、ナルシストでしか成立しない。そのことを彼自身キャリアでずっと宣言している。

当然だがこの側面はハリウッド映画ばかり触れていると、とても味わえないものだ。
で、その系譜にコミットするヒトビトの、その人口がもつ「ムード」は、このメタ映画のなかでも語られている。 
これは映画史ということも言えるが、そういう意味の話にボクはあまり筆を進めない。
肉体表現への敬意と眼差しも、ね。ここでは筆を進めないでおきたい。
アナロジーは多くの差異を犠牲にするが、ボクにとっては3ー4の映画だったということだ。0ー4であとにしなくてホント助かったよ。そんなことを単純に言いたい。



新宿入りして劇場にいったら始まったばかりで、ちょうどいい具合に「シュガーマン」をその前に観た。音楽ドキュメンタリー好きはマストです。 音楽業界の伝説ってそれだけで心がざわめくものがある。シネマカリテの際は併せてどうぞ。

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貼って気付きましたが「Man on Wire」のチームだったんですね。
この映画もとてもいい。