わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

照樹務の思い出


先日、AMAZONから取り寄せたもの。
STUDIO GHIBLI 絵コンテ全集第Ⅱ期/死の翼アルバトロス・さらば愛しきルパンよ

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照樹務(てるきつとむ)。
この響きを聞いただけで心躍る人にこれを書こうと思う。
ボクも、この、宮崎駿のニックネームに影響をうけた一人だからだ。
誰もがそうであるように、小学校の頃ボクのヒーローの一人は、ルパン三世だった。
それも、第2シリーズの145話と最終話は特別で、とにかく衝撃をうけた。
この2作が持つ並外れた中身の濃さはすごかった。 それは小学生でも丸ごとわかった。

ボクのルパン三世体験はリアルタイムではなく、アノ、いわゆる5時半4チャン再放送だ。
なんどループして観てるかわからないけど、この2作は、小学校の時だけでも2回は目撃した。
とくに最終話「さらば愛しきルパンよ」が悶えるほど大好きで、当時ビデオ文明が我が家になかったから、バッティングした公文を脱走してまで見たこともある。 それくらい大好きだった。 一度見損なったことがあって(つまり3回は流れてる)悔しくて泣いたことすら、あるくらいだ。

今はもう、何度見たか数えてはいないけど、ふとまた見たくなった。
でも本当に何度も見ているから、ありのままをまた観てどうするのか、自分自身に困惑もした。
だからブルーレイなど所有してしまうのもなんか気が引け、レンタルなども無粋に思う矢先、徳間書店の絵コンテ集を知り買ったのだった。 そして絵コンテとしてもう一度、この2作に触れた。


至福の瞬間。
なんだろう、今のアタマで「どうでこうで」とか分析もあるけれど、とにかくまざまざと画が蘇る。
そして寸分狂いなく、絵コンテに全ての意思と情熱があふれていた。
どうしてこうも、キャラクター(とアクション)に血が通っているのだろう。
単純なカットは一つとしてない。 ゼッタイにキャラクターを停滞させてはならない! という意志に満ちあふれている。 秒数把握もすごく、しかも指示書としてとてもわかりやすい。
それに絵コンテだから、欠番や変更カットもある。
その全ての変更が作品としてより良く、なにより、宮崎駿氏自身の中のシックリとくる感覚へのこだわりがそこにある。



一人のファンとして。
死の翼アルバトロス」は好きなポイントが多く散在していて、とても一つには絞れない。
でも「さらば愛しきルパンよ」に対しては小さい頃から、大切なカットはずっと変わっていない。
それはカットナンバー255
夜の東京をバックに、ラムダのハッチを開けるルパンのカット。
それはふとした、繋ぎのようなアクションカットに映るかもしれない。 ルパンのアップでもない。
しかし物語としてもっともエモーショナルな、ハッとするようなルパンがそこにいる。
これを超えるカットはないと思う。 最高の一枚だ。






※最後に。
照樹務は「てれこむ」と読むらしいのですが、ボクが記憶していた「てるきつとむ」で通しました。