わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

感想・評論

青土社と挫折:ヴォイニッチ写本の謎

青土社から2005年に出版された本を紹介する。「ヴォイニッチ写本の謎」(共著:ゲリー・ケネディ/ロブ・チャーチル 訳:松田和也) ・・・が、じつはこの本を読んだのは、2年以上前のはなし。そしてこの本自体、自分の手元にはもうない。ブックオフに売って…

松方ピカレスク

松方弘樹さんが亡くなった。以下敬称略で綴る。また一人、大物俳優がこの世を去った、という惜念の想いのほかない。42年生まれだから、ロバートデニーロのひとつ先輩だ。アルパチーノとも年は近い。みなさんのなかの松方弘樹像はどうだろうか。小さい頃はな…

高畑勲のかぐや姫の物語

昨夜、深夜ぽくぽく帰っていたら曇天を縫うように、霞がかった満月が南東の空にあった。そうか、まさに十五夜、中秋の月じゃないか、なんて思うのだが、偶然にもそれは、高畑勲の「かぐや姫の物語」をDVDで鑑賞した翌日のできごとだった。 高畑勲「かぐや…

松本俊夫「修羅」

鶴屋南北「盟三五大切」をベースにした1971年ATG製作「修羅」。このDVDを(ゲオで)借りて、拝見した。ひとこと、「たまんねえ映画だなぁ」 (☝見てよ、この題名フォント。やばいよ) この年ともなると映画に抗体が出来すぎていて、不感症気味になるのが世の…

ロクヨンという涙腺事項

「64・ロクヨン」の前編を、6月1日映画の日にレイトショーで観た。寝て、起き、冷静になってしまったのでこれを書く。この映画はとてもいい。感動します。俳優の演技はすばらしく、とくに佐藤浩市(以下敬称略)と永瀬正敏がすごくいい。そして赤間部長…

ヘイトフル・エイトは困る映画

タランティーノの「ヘイトフル・エイト」 観たのが木曜日なんで少し経つが、たいへん困る映画だ。 噂もとんと聞こえてこなかったからある程度覚悟してたんだけど、観ると「なるほど(噂にならないわけだ)」と思う。タランティーノは本当に大好きだがひと言で…

特集:2000年代「ホラー3.0」

帰省すると、また兄弟で映画談義。今回のお題は、ホラーである。ホラーの傑作ってなんだろね、ということだ。言っておくと、ボクより兄の方がはるかにホラー&スプラッタに強い。ほぼ専門家だ。その、ホラーという免疫学の専門家に伺いたかったことは、 2000…

魅力的なヒロインを考える

正月で帰省し兄などに会うと、かならずマニアックでディープな会話になります。 兄弟姉妹の居る人はわかるでしょうけれど、兄弟だけに通じる言語があるわけです。 「金田一」の台詞をサッと出しては、まるで連歌のように返答するわけです。 私 「ア・カ・イ…

2015 暮れの短信

◎「フォースの覚醒」うっすら感想 観ました。 しかたなく。 というと自分にも抵抗がありますが、まあ、そこまで無邪気でもいられない、という二重思考です。 だってぇエピソード1〜3があまりにも心証が悪すぎるからね。 ポッドレースしか覚えていない。 そ…

消失

ナイロン100℃の舞台「消失」。 再演です。 初演は、11年前のこの季節でした。 11年前。 の話をまずします。 ボクはありがたくも友人の推薦を請け、1ヶ月稽古場にお邪魔し、舞台が出現する様を撮影しました。 のちにそれは、「the Appearance」という…

マイ・ブックオフの殿堂

マイ・ブックオフ殿堂入り。 新たな劇薬、入荷しました。 竹内久美子著 「女は男の指を見る」(2010) これです。 劇薬です。 5年前の発刊ですが、ブックオフ経由、最近よみました。 108円。 内容は本当に言いたくないのですが、少しだけ言うと、「女は…

私家版/エディ・コイルの友人たち

TSUTAYAの「発掘良品」にて今年DVD化された「エディ・コイルの友人たち」(’73)。 ピーター・イェーツ監督作、主演ロバート・ミッチャム。 詳しくないが、日本未公開とのこと。70年代のフィルム・ノワールだ。 ノワール好きのオレとしてどれどーれ、どんな…

「ダライ・ラマ14世」を観た

豊潤で、とても良い映画を見た。 それが、ドキュメンタリー「ダライ・ラマ14世」(2014)だ。 渋谷ユーロスペースにて。 (C) Buenos film / Taikan USUI (C) Buenos film ちょっとこれは長くなるので、 【続き】 をどうぞ!

アメリカを支えた「SFX」

スティーブン・スピルバーグと、リチャード・ドナーと、リドリー・スコット。 アメリカ映画、、、というか、アメリカそのものを救ったのは、彼らなんじゃないか? とボーッと考えることがあります。 未知との遭遇(77) スーパーマン(78) エイリアン …

カサヴェテスというJAZZ

カサヴェテス作品の引力にまた、ふたたび、包まれた。 チャイニーズブッキーを殺した男(1976) ジーナ・ローランズへのラブレターは何通か観ていた。 が、このベン・ギャザラへの贈り物は初めてだった。 で、驚いた。 すごい映画。 というか、すごい、コズ…

史上最強の哲学入門

クソ、がつくほど面白いです。 飲茶著 「史上最強の哲学入門」。 右が第一弾で西洋哲学、左がつづく「東洋の哲人たち」。 近年まれにみる、読書体験でした。(おっと。これも「同化」ですね) とくに「東洋」篇の出来たるや、すさまじく感動!耳、赤、たとえ…

戦争を知る傑作、二冊

今年の終戦記念日に、何か思うことがあり、本棚から読んでなかった文庫(置き本)を取り出しました。 伊藤桂一 「兵隊たちの陸軍史」 堀栄三 「大本営参謀の情報戦記」 2冊とも、当時軍部に所属し、戦争を生き抜いた作家によるノンフィクション。 伊藤氏は…

資本主義以後の世界を読んで

中谷巌著「資本主義以後の世界」(2012/徳間書店) ブックオフで購入。拝読。 これは、とてもいい本だ。 資本主義の成り立ちを1492年コロンブスによるアメリカ大陸発見から俯瞰してみせる。 時の覇者スペイン・ポルトガルには「何が足りなくて」オランダでは…

ゲオPt.5

完全備忘録。ゲオ会員第5弾 ●桐島、部活やめるってよ とても爽やか。放課後の機微を「観察」するための不在。観察への反応とするか、 才能とカーストの話と考えるかで味わいはかわる。桐島と、レンズとドラフト ●悪の教典 スプラッタ好きは喜ぶだろう。でも…

アクト・オブ・キリング 奇跡の映画

「ソンナノ ヒジョーシキダヨォ! ユルセナイヨォ!」 By日本の常識 世界の非常識 5月1日映画の日。 「アクト・オブ・キリング」を観た。 HP 先に結論を言うと、映画史にのこる傑作です。 だから映画館で観て欲しい作品です。 多くの人が衝撃と絶賛を表明し…

ゲオPt.4

完全備忘録。ゲオ会員第4弾 ●千年の愉楽 中上原作は映像化するとレトリックがないぶん構造が整理できる。※ ●蝉しぐれ ロケーションが美しく少年時代がいい。食事がうまそう。ドラマ版が観たくなる ●山桜 これはちょっと…。全体に希釈度が高く、投獄中ひげ一…

エトロフ遙かなり、1993年

1993年はTVドラマ史的に超重要な年だと思っている。 その年の11月、4週にわたりNHKで「エトロフ遙かなり」が放送されたのだった。 高校3年のボクはそれを目撃してしまい、脳天が痺れ、そのドラマに夢中になった。 エトロフ遙かなり。 ボクが知ってい…

ゲオPt.3 「告白」レビュー付き

完全備忘録。ゲオ会員第3弾 ●クワイエットルームにようこそ クドカンがすごくいい。通過儀礼の物語。なので後味はとても爽やか ●アフタースクール 2度目。すっかり内容忘れてた。この監督の作品はとにかく好みがわかれる ●鍵泥棒のメソッド 同じ題材にさせ…

ゲオPt.2

完全備忘録。ゲオ会員第2弾 ●ローズマリーの赤ちゃん オカルトホラーの原点。音声消して画だけでも全てがわかる映画の教科書 ●ベルトルッチの殺し 標準再生はキツいが兵隊篇の雨宿りショットがたまんない。これが処女作か ●ベルトルッチの分身 時代に駆逐さ…

特集・町山智浩

前回、すこし映画評論家町山智浩氏に触れましたが、それ以来すっかり中毒。 聞きまくってます。 第2次・ウェイン町山ブーム到来です。 第一次はもちろん、90年代も中盤のハナシ。 まだ「映画秘宝」が黄色いムック誌だったころのこと。(うわーナツカシイ) …

ゲオでフィルムノワール祭

グチ・オブ・レンタルマインド TSUTAYA利用者、ツタヤーだったボクが、はじめてゲオ会員となった。 店に入ると「GEOってこんなに安いんだ……!」と思わず興奮してしまったのだ。 しかしながら、TSUTAYAでも郊外店舗の品揃えに感心したためしはなく、ゲオも、…

エリック・ストルツ「インサイド」

南アのアパルトヘイト映画での傑作が「インサイド」だ。 アーサー・ペン監督 エリック・シュトルツ主演、1996年のテレビムービー。 なんと、劇場未公開作品である。なにかのきっかけで観て、途轍もなくヤバかったのを憶えている。 先日ネルソン・マンデラ…

嫉妬する女性映画たち

アメリカの女性映画。 それも南部や中部といった、極力田舎で小さな町。それもキリスト教の色濃い、静かな映画。うまく言えないがこのライン、実は大好きなのだ。そしてこういう映画にこそ嫉妬してしまう。 自分にたりない眼差しの豊かさを感じ、「ああ、こ…

ピラミッド 5000年の嘘

このドキュメンタリーは必見です。 とにかく必見です。 レンタル屋さんにひっそり置かれてます。 日本版HPに荒俣宏さんが「生きててよかった!」と寄稿していますが、そう思って不思議はありません。このパラダイムシフトは21世紀という時代にまさにふさわ…

ホーリーモーターズ鑑賞

「ミニシアター」はとても久しぶりだった。 新宿シネマカリテ。去年12月に出来た新しい映画館。 トイレがウォシュレット。なにより、なつかしい人々と一緒に映画を観た。 あー、そうなんだよ、このかんじこの感じ! その印象が一番かもしれない。 レオス・カ…

「ザ・マスター」はイイ映画

ポール・トーマス・アンダーソンの「ザ・マスター」を金曜日に観た。封切り日に映画を観たのはとても久しぶりのことだった。観た映画すべての感想をこのブログに乗せているわけでもないけど、この「ザ・マスター」も悩ましい。この映画の感想をのべて一体ど…

クラウド・アトラスも爆弾

月曜日、ウォシャウスキー姉弟(←戸惑う)&ティクバ「クラウドアトラス」(2012)を観た。 どう書いてイイかわからず、一日経って、ようやく書こうと思いました。 「クラウドアトラス」。 172分。 3時間弱の映画。 さっそくこの映画を「好き嫌い」ヌキで語ろ…

「ジャンゴ」は爆弾

「ジャンゴ 繋がれざる者」を日曜日に観た。未だの方は観てから読んでくださいね。 「なんで映画館で観なかったんだろう・・・」という強烈な後悔を催した作品に「イングロリアスバスターズ」がボクの中にある。フォールームスからグラインドハウスまで粛々…

エル・グレコ展

木曜日、上野の東京都美術館へ行ってきました。 「エル・グレコ」展 さっそく個展外の作品だが(笑)。このデカダンな雰囲気。 10代当時この絵を見てファンになる。ボクはエル・グレコが大好きだ。もー好き。いつだったか十代のころ、上の肖像画を見てファン…

意識の壁

ヒトの致死率は100%です。SARSやガンの比ではないのです by死の壁養老孟司さんの「死の壁」(2004)を読みました。マイ・ブックオフ105円の殿堂、決定書籍です。 もう、ベストセラー「バカの壁」も再読してみよう。105円で買い戻せるのですから。でも「…

大島渚の闘い!

BS朝日で日曜日の夜、「大島渚の闘い!」という番組をみた。2000年に制作された番組。 今回の追悼特別番組ということで特別枠での再放送だったろう。この番組を見た人はどれくらいの人数いるんだろうか。誰か、いますか? 見た人。見た人に告げます。 強烈で…

絵画を掘ろう!

前回、前々回と音楽のメタファーについてつっつきました。 これが意外とプライベートな反応が好評で(笑)、今日は絵画におけるひとつの見方を書きます。 もちろんこれは愛好家や専門家には常識でしょうが、意外と浸透していないように思うので。 それに欧米…

寝りゃなおる by 権藤医師

FBで友人がリンクしていて思わずボクもシェアしました。 大滝秀治さんの言葉。とてもいい言葉ですよね。 しかしこの言葉は同時に、大滝さん自身の俳優術も表していると思うのです。大滝氏は「自信」と「謙遜」をキャラクタに吹き込んでいたと思う。その配合…

日本辺境論を読む

自分が演出・撮影・編集した映画で「Going For Sunday」(2004)という作品があります。この作品はロンドンの映画祭「Japanese filmseason in London」(04)に選ばれて、ボクも駆けつけ会場でスピーチしました。 そのときの、友人ヨッチが翻訳してくれた貴…

邦画を彩った女優たち

NHK-BS「邦画を彩った女優たち 大原麗子」が今日、12時から再放送していた。30分前に知り、あわてて録画&鑑賞した。 このシリーズは先月、第2シーズンとして4人の女優をピックアップして放映していた。 大原麗子・若尾文子・太地喜和子・倍賞千恵子(…

照樹務の思い出

先日、AMAZONから取り寄せたもの。「STUDIO GHIBLI 絵コンテ全集第Ⅱ期/死の翼アルバトロス・さらば愛しきルパンよ」 照樹務(てるきつとむ)。この響きを聞いただけで心躍る人にこれを書こうと思う。ボクも、この、宮崎駿のニックネームに影響をうけた一人…

市川崑 「幸福」の幸福感

たとえばフランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生」のように。あーだこうだ批評することなどどうでもよくなり、むしろそんな行為が小さく感じ、吹っ飛んで幸福感に包まれる映画。 そんな貴重な映画が、数少ないけどこの世には存在する。市川崑監督作品「幸…

NHK広島ドラマ 「火の魚」

9月20日午後10時より、NHK総合でひっそりと放映された「火の魚」。僕は放送10分ほど前にその存在を知り、なんとなく傑作の匂いがした、鑑賞した。そしてそれはとても重力のある、傑作だった。 「なんとなく傑作の匂いがした」のはクレジットに「脚本渡…