わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

ハリルホジッチの正体 Pt.3

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まさか。ここで2年前の記事にパート3が出来ようとは、想像していなかった。

うそ。

下手するとこうなるだろう、という予測の元、ブログは書かれているが、まあニュースに驚いた!
当方ブログから。
ハリルホジッチの正体 Pt.2」の最期の文章を引用する。2016年に書かれた文章である。



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最後に、意地悪な想定を立てよう。それは、
「今、特に東アジア地区は、サッカー界にとって超評判悪いだろう」という仮説。
これは欧州で活躍したのちリクルート中の、架空の監督AとBの会話の形をとってみたい。
こんなブラックな会話でこのトピックを終えようと思います。
みなさん、ごきげんよう


A「今なんつった、おまえ!?」
B「オファーがあったんだよ、日本で代表監督やらないかって。悪いハナシじゃなさそうだよ」
A「お前キャリア終える気か?やつらクソだぞ?」
B「え、そうなの?」
A「ああ、FIFAランクは50ナン位で超弱ぇくせにな、自分たちはバルサかなんかだと思ってんだ」
B「そんなの、地元クラブで慣れっこじゃないか」
A「でな、大衆も報道もガキでさ、自分たちの弱さほっといて、そのうちおまえだけを口撃するぞ」
B「うーん、でもカネが欲しいよボク……」
A「相手はプライドと主張ばっか高ぇ亡霊だ……おまえ、耐えれるか?」
B「No Racismだよ、FIFAは! それにカネが……」
A「あの気にくわねえハリルですら、神経ヤラれたからな、100%やんなるぞ?」
B「うーん……カネが……」
A「協会も頼りねえから、すぐハシゴ外される。 気付きゃ、アジアの地で孤立無援さ」
B「でも……すごくいい人たちだったけど」
A「その期待が怖ぇのよ。すぐ裏返る。とにかく悪いことはいわねえ。日本と韓国だけはやめろ」
B「……そうかも。べつに、どうしてもってわけじゃないよね。ハッハッハ!」
A「そうだよブラザー。ハッハッハ!」


by ハリルホジッチの正体 pt.2
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今回の、本大会まで2ヶ月を切った時点でのハリル更迭事件。
日本のサッカーも、日本の《体質》も、これでいよいよ完全に「割れた」と思う。
世界に見切られたはずだ。


まず、日本のサッカーについて。
ちょっと敵側から観てみようか?


▼彼ら(日本)は勝手にポゼッションさせておき、自陣(日本にとっては敵陣)深くまで侵入させたのち奪い取って、カウンターをしかけると容易にチャンスになりやすい

==という戦い方はすでに《対・日本戦》のセオリーであった。いわゆる、ハリルの目指す「縦に速いサッカー」というのが、日本を相手にすると逆に有効な戦術であったことは、世界的(と言ってもアジア)に知られていた。し、ちょっと調べればすぐ割れるものだ。
もっともハリルの「縦に速いサッカー」が果たしていったいどこまで完成していて、また完成した試合なんてのも我々は観たことがあったのか?という話はおいておき、いわゆる「ポゼッションサッカー」に今後「揺り戻した」ところで、要するに



バレバレなんである。



今度は敵の攻撃を観ていこう。
▼マンツーマンディフェンスを日本が取ったならば、センターを開けるように(敵は)インサイドハーフがサイドにひらけば、そこを突いて中央を突破すればいい。そうすると難なく侵入できる(==これが3月欧州遠征のウクライナの戦法。しかも欧州予選に敗退しているチームですらこうである。混乱している場合ではない)
▼日本がサイド攻撃をするようであれば、そこにより強力で走れるサイドアタッカーを置けばいい。サイド深くにボールを放って追いかけっこさせればいいよ。そうでなくてもパスアンドゴーで切り裂けば、もうビビって(日本の)サイドは上がってこれない(==これは前大会本戦のコートジボワールのパワープレイだったね。しかもセオリー中のセオリー。サイドでの覇権争いなんて!)。要するに





バレバレなんであるよ。





我々は夢想する。
そしてたいてい、攻撃の、それもいいイメージしか夢想しない。問題である。
ボールは一つだが、陣は二つだ。
敵がなにを仕掛けてくるのか。そしてそれに耐えてどう撃ってでるんだよ?
敵の迎撃に耐えたあと、ハーヒーフーと息つく暇なくさらに走りきって、どれだけ質の高い攻撃ができる?
そこではじめてクリエイティブエリア、攻撃の絵を描いてるか?ってところになる。
で、肝心のシュート・フィニッシュだ。入るのかよ、そのシュートは?
やることは満載マウンテンだ。



おまけに日本はFIFAランク、何位なんだよ?



ディフェンスの時間が圧倒的に多いとシミュレーションしとかないと、本当にアホだと思う。
ポゼッションだろうが、縦に速くだろうが(これは全く完成を見なかったが)、なんてことはない。
ディフェンスのモーメントを考えろよ、世界と伍するには。
それしかない。エンジョイフットサルじゃない。
加えて伍するだけじゃなく、勝つには–––。 シュートを相手より多くゴールに入れなければいけない。
そのクリエイティブスキルはあるだろうか? –––越える関門はあまりにも多いのだ。


もう過去の人になってしまったわけだが。


ハリルは、DFを育ててたよ。その申し子が槙野だろう。(槙野が育ちきったかは別の話!)
植田もちゃんと育てていた。だから彼らのハリルへの感謝は本物だと感じる。ありがたかったろう。
デュエル、デュエル、デュエル!」と彼は吠えていたが、それも当然だ。
ハリルをどう見るのか。それは一元的ではない。



もっともハリル更迭論はもう、まさに、ずーーーーっと言われ続けていた。攻撃のノーソリューションっぷりは目に余っていた。ずっとだよ、ずっと。
だからこそ「ここでかよ!?」という驚きと、完全なる「空しさ」しかない。
もうとっくにハリルでいくとオレは覚悟してたし、本番という、言い訳と待ったなしの《答え合わせ》で初めて「生きたデータ」と彼の3年間が総括できると思っていたからだった。ぶっちゃけ楽しみにさえしてた(自虐も含むが、彼は知将でありこの死に体でなにを繰り出すかはマジで見ものだった)。

ところがどうだ、この報せだ!
ハリルの目指した短期決戦でのやりくりは《ifもしも》の世界に葬られた。
しかも! 残すはメンバー発表と、壮行試合の1試合で現地入りという時期でだ!

ああ・・。本当にそこまでの段階なんだよ・・。
やはりハリルが哀れだ(たとえ年棒が高価だろうと悲壮だ)。彼の胸中を察するに余りある。
切るなら、いくらだって時期はあった。彼としてはとても服めたもんじゃない。


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JFA会長以下《協会》の決断とそれにまつわる《協会》の話。
これはもう、他でいっぱいたくさん(長年)聞いてきたことだろうから、ここでは論じたくないが、ひとつだけ言うと––、



日本は技術委員会のほかに、コミュニケーション委員会も必要なのね?



ということだろう。これは皮肉も含むが。

オレは《ハリルホジッチの正体Pt2》でこの国の国民的体質「性善説性悪説」を説いた。
最近は《ForAndの深刻なちがい》でも日本の民族的奇習を指摘している。今回の決定の遅さもまさに、日本語的、動詞決定の遅さをみてしまう(しっかし遅いが。)。
また4年毎にやることが変わるのか?とか、協会の体質! 等あるがそもそも会長ですら短期決済だ。
いわゆるお役所や企業となにがかわろうか?
あるいは、良き心とデータの引き継ぎもあり、誰も悪くしようと思ってないのに意見も思想もバラバラなんだよね、人間って。・・って収めたい気持ちもわかる。オレもある!!

が! でさ、そこでどうするんだよ?  その「かゆいポイント」こそいい加減まとめてくれ!、と思う。
ディシプリン(←規律と哲学。ふさわしい対訳はないそうだ)をみせてくれ。キョーカイよ!

かねがね「日本代表は本当に日本の代表。日本というものを知るのに適している」と思っているが、こういう事件があると、本当にそうでしかないと痛感する。日本代表は日本というものの鏡だ。


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あと大事な視点を一つ。
この事件って、ハリルと協会、という話には留まらないんだよね。「はいはい日本ってそういう国ね」という国際サッカージャーナリズムのプロファイルに、いよいよ烙印が押されたろうなと感じた。
今、サッカー日本代表への心証はまじで世界的評判は芳しくないだろうと考える。
どんなに監督の求心力の低下を説いても、自意識世界基準への選択との狭間で、自意識を選んだのだから。しかもこの、あと2ヶ月という前代未聞の段階で! 会長は「オールジャパンこの危機を・・」と会見で言っている。そう定義づけて自ら鼓舞するしかなかったのだろう。

それはFIFAランキング50位の、悲壮な、自意識なのである(将来につながればいいが・・理解できるものじゃない、海外は・・・国内だって激震だわ)。
これもデータとして刻印すべき内情、ではないか。







でチミは、本戦見ないの?






見るに決まってるだろ!!
見るし、見守るし、見届けるさ。
前大会の3試合目を思い出してくれよ。コロンビア戦。もう予選敗退決定濃厚のさ?
あれなんかな、行きつけのバーで深夜パブリックビュー見てたけど、オレ入れて2人だからね、お客。
そんなポピュリズムも、今回もたっぷり見させてもらうさ




さあこのシリーズもおしまいだ。
なんとも言えなかったけど、本当に本戦を楽しみにしていたよ。
さようなら、ありがとう。––– ハリル。









いつも思うが、W杯は大会が始まる前が一番の、魔境だ。