わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

ファイナルカット難民の物語《後》

落雷ガガーン!

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落雷ガガーンの図

 


FCP7の使用。
来るべき、ネクストワンまでのその《勝利なき戦い》は、虚しく過ぎていった。もっともその中でも、数々のハンドワークは創られていったわけだが・・。
この編集ソフトが優良である、ということのほかに《この告白》は当然としてある。それはーー




ぶっちゃけ手が早い。
ほかのソフトイチから覚えるよりもーん (^o^)/




納期がスーパータイトなプロジェクトも多い。というか、ほとんどそうである。
そうなると、FCPを起動せざるを得ない状況にも陥る。さすがに10年扱ってるソフトだと作業が超速くなってるのだ。Prores変換を要求するフォーマット作業の「手間」を差し引いても、作業がちょッパヤなのだった。




またイチから憶えんのはまじでタルいぞ・・・




これは本当に、多くの難民の叫びだ。
なんだってまた、慣れ親しんだツールを手放さなくてはいけないんだ!?
しかしOSが新たになるたびに、難民は戦々恐々と、こう囁くのだった





『新しいOSはFCP、走るの? 走りそ??





ーー我ながら、そのみじめさに泣く。

ちなみに。
FCP7に対し、もっとも完成したOSが《Mavericks》。MacOS10.9.5である。
え? なに? そんなことどうでもいい?




どうでもいいなら見なくていいっっ!!大島渚風に)




知る人はむせび泣くはずだ。
そうなんだよ、マーベリックスなんだよ!(泣)と。オレはそういう人にこれを書いている。






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アドビ・プレミア。
そして、アビッド・メディアコンポーザー。


この二大選択肢をオレはどれだけの月日、検討したことか。
FCPXの発売からこれまで、ずっと検討してきたと言っていい。
プレミアに至っては、5と6。《マスターコレクション》ですでに持っていた。
で、たまに必要もあり弄ってはいた。昔はプレミアユーザーだったわけで、ぼーっといじっている。
しかし、そのーー





つまらなさたるや!! 犯罪的だっつの!!!





そこはかとなく、しかし確実に、つまらないツール——。それがオレの感慨だ。
ひとこと、ワクワクしない。使ってて何も《こころが動かない》のだ。その上、プロキシファイルを勝手にじゃんじゃか作り出すアイツ・・。 悲しいことだがもう、君の許には戻れない・・そう想った。
しかもアドビもスタンドアローンに見切りをつけ、CCクラウドの課金にしやがったぁ!!






K▫️SOがっ!






スタンドアローンだっ! これは譲れん!! 譲れるわけがないだろう!
クラウド課金という潮流こそ、それこそ難民としてであれ、徹底的に抵抗してやる!!
ファク!! これがオレの態度だ! もはや、アビッドのメディアコンポーザーしかないのか!
って言ってるうちに、アビッドまでクラウド課金になりやがるのだった!





K▫️SOがっ!





ちなみに、アビッドメディアコンポーザー唯一にして最大の欠点が《合成モードのなさ》にある。(FCPの合成に馴れた自分は、AVIDの編集マンさんと喧嘩したことさえあるから身に染みている)
そこに二の足を踏んでいたら、ふむ必要さえなくなってしまったのだった。





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編集ソフト選びのなかに。実は、オートデスクの「Smoke for Mac」という、数年前のオートデスクSmokeという選択肢もあった。所謂スタジオクオリティスタンドアローンで手に入れられる「機会」が数年前、実は世の中には展開していた(これもオートデスクとしては2012年のFCPX事件を受けての動きだったのだろう)。




「Smokeで編集するディレクターいたら、アツくね? てか、イヤミじゃね?」




ただそれだけ、という邪な動機の選択肢を本気で検討していた時期がある。Too主催の講習会に行って編集してみたり、InterBEEの各社ブースを訪ねヒアリングもした。SmokeもB&Hでドル立てで買えば、実は日本で買うよりはるかに安いことも知っていた。しかしオートデスクも余裕の与太郎で、程なくクラウド課金(それもスタジオ料金)へと移行し、サクッと《記憶の彼方》へと消えていった。


もはや。


もはやオレの選択肢はこいつしか残されていなかったのだ。こいつとはーー











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DAVINCI RESOLVE



ダビンチレソルブ。Blackmagic社のカラコレ&編集ツールだ。
あろうことか、ほとんど使える体験版がフリーである。あとでたっぷり述べたいが、Davinciとはもともとがカラーコレクションの(伝説的)大家である。BM社が買収。編集機能は当初《おまけ》に近かった。それでもオレは彼らに可能性を感じ、Ver10、12と水面下でいじっていた(Smokeまで様子みるくらいだから当然だ)。
とくに《バージョン12.5》はオールモスト、完成していた。しかも彼らは、わかっている。その哲学は自分と合致するように《スタンドアローン》を選択し続けている。もうほとんど、心はなびいていた。






DAVINCI RESOLVE 14 発表






BlackMagic社がバージョンを上げた。
そこに、ちょうど《ぶっこむに値する案件》も舞い込んでいた。12.5がほとんど使えるレベルになっている。すると・・




「次あたりのバージョンで熟(こな)れていい具合のはずだ・・」




いよいよ「買い」のフラグが立った。
フリー版を試すまでもない。有償のStudio版だ。と言ってちょうどFCPXと同じ料金帯なのだ。これまでの長いながい道のりを想うと、なんて安さだと言うのだ・・・!









バゴォーーーーン!!
(ポチる音)










そのポチる横に、「彼」は静かに佇んでいた。




さよなら、さようなら、ぼくのFCP7・・・




彼はなにも言わなかった。思えば、一度として声をきいたことなどなかった。



そうして船出したのだ。




そしてそうと決めたら、一つのプロジェクトをDavinci Resolveでヤリ倒したのだった。ツールの実力は実戦投入しないとけっして、決してわからないものだからだ。しかもちゃんとした、想いを乗せられるプロジェクトでないと本領は見えてこない。

そんなプロジェクトに新しいツールで挑む。つまりドキドキする。見知らぬ海に投げ出されたように。
で、ドキドキしつつも越えるだけの彼岸があるからこそ、使う側は必死になって憶えるものなんだ。繰り返すが、ぜったいに、実戦投入しないかぎりそのツールの良し悪しは見えてこない。




ラスト、エピローグ篇にてその使用感でも述べようと想う


と思った矢先「Davinci Resolve 15」が発表となった。
なので、これにて幕を降ろそうと思う。
この記事は、すべてのファイナルカット難民に捧げます。「彼」との、麗しき記憶とともに。
すべてのNLEに幸あれ。








 

 

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