わが心のBlog

by Hiroki Utsunomiya

なでしこに視る日本のDNA

これは2016年3月7日。自分が旧ブログで書いた記事(というかメモ)だ。
リオ五輪の予選で敗退した、なでしこ代表の当時を語っている。見返したら良いこと書いてあり、代表の男女を問わず、今につづく指針でもあろう。ここに転載する。



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さて。そんなわけで、NDSK。今日はなでしこの話です。
一つの時代が終わったからね。メモ程度だが、今のセンセーションをまとめとこうと思います。
あの2011年の優勝から5年。「なんだったのか」書いておこうと思います。



◎成功体験に頼りすぎ

現在開催中リオ五輪アジア予選の、惨敗。これでなでしこはリオ五輪に行けなくなった。
まあもう、ひと言で言って「成功体験に頼りすぎ」と言える。うさぎと亀を地で行ってる。
この佐々木監督の長期政権の末路に学ぶべき点はかなり多い。彼をディスるのが主旨ではない。
そうではなく、これを「判例」として記憶しておくことが肝要だ。そのための今回のメモでもある

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◎流れを思いだそう

栄光の11年のできごとは、よしとしよう。
その後、12年ロンドン五輪の準優勝(同じくアメリカと決戦)も、よしとしよう。
さあ、そのあとの流れを、みなさん、思い出せるかな? こういうとき、歴史は役に立つ。


日本 2ー5 アメリ


これが2015年、三度目の対戦となった米国との、カナダW杯決勝。記憶に新しい「惨敗」だ。

研究されまくった姿がそこにあった。この試合でさらに重要な事件はDF岩清水が粉砕されたことだ。
彼女はイジられまくって(泣きながら)前半で下がった。ここに象徴がある。どういうことか?

この試合で粉砕されたのは、なでしこを支えていたメインキャストプライドだった、ということ。
岩清水であり、大野であり、宮間であり・・。この精神的脳震とうダメージ。
これを忘れちゃだめ。
ちなみに当時オレはブログでこう予言している、

「これから先は世代交代と見栄の間で右往左往することは必定。ファンなら覚悟が必要だろう」

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佐々木監督、続投


がその後、発表される。
悪い冗談か?と想ったもんだが、次の問題、EAFF女子東アジア杯(2015年8月)に臨む。

ここで《ヤングなでしこ》が試されることになる。カナダW杯からひと月後のことである。
結果はなんと、4チーム中、3位!!
こんなかんじだ。

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ここにも、バッドで殴られたような衝撃があったはずだ。彼女ら、若いメンバーにだ。
モチベーターとしては一流だが、若手育成は確実に「?」印のつく、佐々木監督。
そんな彼がアゴひげをいじり、微笑みながら考えることは一つ。



「負けたくねえなぁ・・・」



代表監督も短期決済だ。
それで食べるプロなんだから当然そう考える。
(注:勝ちてえなあではない)
故に若いメンバーで挑んだ東アジア杯はただ

「メンバーを減らし自信喪失しただけ」

という失敗に。気づけば精神的脳震とうをくらったメンバーばかりになった。
老いも、若きも。包囲網はさらに、縮まる。



今回メンバー発表、
若手4人落選



ミーハーな熱視線の中、楢本光とか落選。
そういう次世代アイドルを切り(まあボランチは激戦区だが)INAC や日テレの古株で組んだ今回。
このキャスティングは完全に退路を断っていた。

ある意味で、潔い。古い箱舟で旅立ったのだ。
5年分、遅くなった大野や川澄や宮間で。監督は、いけると思ったから選んでいるのだが。


そして今、目の前に惨めななでしこの姿がある。


ここまでの長期政権は、もう脳震とうダメージたっぷりの、戦えないチームとなっていた。
ご丁寧にも、2006年ジーコジャパンのような「新人/古株」の軋轢と内紛をも、トレースしながら。

20160307view.jpg 使い回しています



◎なでしこらしさぁ?

またこう惨敗すると自動的に「なでしこらしさはどこに!」とか言っちゃう者どもが出てくる。
歴史を学習していないアホである。
これは男子の「サムライブルーらしさ!」とか言うのと全く同じ。不毛だ。いつの青色を言ってる?
それよりオレが気にしたのは、その内訳としての


勝負強さとそのDNA


に関する、誤解だ。オレ自身も、考え直さないといけない。残念ながら。
なでしこは勝負強い」と思っていた。そんなDNAがあってそこは守りたいなぁ、と考えた。


とんでもないね
そんなのは単純に、そのときただ強いだけだ。


そのときの、そこに居るメンバーのケミストリーが、ただ、強かっただけ。
だって、勝負強さのかけらもないじゃないか?
殆ど同じメンバーでも、老いればイチコロだ。
DNAだとか、自分でも言えない、とてもない、なかったよ勝負強さのDNAなんて!と思う。

世代交代のキワ
が、男子も女子もヘタすぎる
不可逆というか、DNAではなかった。思案のし所だし、この要素こそDNAだ。
世代交代がヘタすぎるDNAならあると言える。

また、ただの「新チーム」になってしまうだけではなかろうか。
こうして無残にゼロリセットされるのって、勿体なさすぎるが、日本の歴史でもある
陸軍の成功体験でつっこんだ太平洋戦争とマインドとしてなにが違うだろう?


基本的に花道がない、日本のシステムって。
(唯一、澤にだけはあったけどな)


とにかく11年の麗しい記憶も、こうやって帳消しにするまで戦わせるのが、日本の伝統なのか?

やだねえ。ファックだねえ協会って。
佐々木一択の姿勢もかなり気持ち悪かったよ、協会さん。そんなDNAしか見えてこない。この、長いものに巻かれる伝統なら確実にあるのだろう。

見る側の世論も冷静に分析してまあこうなるよ程度で、教訓は次につなげてほしい。
そのための「判例」だ。





(2016・3月7日記)
(2017・11月 当ブログ用に編集)